自覚症状が少ないとされる胃がんでも、末期になると激しい痛みや腹水、排尿障害など様々な症状が現れます。末期胃がんの症状や治療について確認しておきましょう。
胃がんの末期とは、がんが進行して、治療がかなり困難になっており、余命が3ヶ月~6ヶ月程度と診断される状態の総称です。 一般的には「ステージ4=末期胃がん」と考えられていますが、ステージ4だからといって治療の可能性が0とは限らないことも覚えておきましょう。
そもそも胃がんは、「早期胃がん(ステージ1A)」と、それよりも状態が進んだ「進行胃がん」に大別されます。また、胃がんの深達度やリンパ節への転移数などに応じて、さらにステージ1~4に分けられます。
ステージ3は、胃がんがかなり進行した状態であり、さらにA・B・Cの3期に分けられて、その症状も異なります。中でも症状が最も進んだステージ3Cでは、がんが胃の外壁の表面や外側にまで露出しており、きわめて深刻な状態に違いありません。
しかし、一方で全身転移は認められない為に、手術や化学療法(抗がん剤)の使用によって治療を目指せる可能性も残されているでしょう。
胃がんのステージ4とは、胃がんの深達度やリンパ節への転移数に関係なく、肝臓や肺、遠くのリンパ節など、全身にある臓器にがんが転移している状態の総称です。 基本的に、がんが全身に転移している状態では、胃がんもかなり進行していることが通常です。しかし、中には胃がんの状態としては末期でなくとも、全身の他臓器にがんが転移してステージ4と診断される場合もあります。また、転移先の臓器によって、治療の難易度や生存率が大きく変わることもあります。
ただし、ステージ4になった胃がんは、次々と他の臓器へがんが転移・増殖し続ける状態にあるので、極めて早急な対処が必要です。
末期状態の胃がんでは、胃における深刻な症状だけでなく、がんを原因とする諸症状が全身にもあらわれます。
末期胃がんでは、食事がしにくくなるだけでなく、胃で食べ物を消化・吸収することが困難になるので、食事をしたとしても正常な栄養摂取ができなくなります。その為、著しい体重減少や栄養失調に苦しむことも珍しくありません。
また、その他にも激しい痛みや嘔吐感、胃からの出血による吐血や下血(黒色便)、貧血、胸のしこりなど、はっきりとした自覚症状があることも通常です。
がん細胞による全身の痛み(がん性疼痛)や、全身倦怠、免疫力の低下に伴う諸症状があらわれます。さらに、体の水分調節も正常に働かなくなるので、腹水もたまりやすくなってしまい、腹部の膨満感や下半身の浮腫、排尿障害など様々な症状もあらわれます。
その他、転移先の臓器によって、呼吸障害や肝機能障害があらわれる可能性もあるでしょう。
末期胃がんをステージ4と仮定したとして、ステージ4の胃がんの5年生存率は、「全がん協加盟施設の生存率共同調査」によると、約7.2%とされています。(※1)その為、余命宣告をされることからも分かるように、末期胃がんの生存率はかなり厳しいのが現実です。
ただし、末期胃がんの生存率は、転移している先の臓器や、その進行具合など個人差も大きい可能性があるので、まずは自分の病状について担当医からしっかりと説明を受けることが肝要です。
胃がんの治療としては第一に外科手術による胃の摘出が考えられますが、全身に転移していると思われる末期胃がんでは、手術でがんを完全に取り除くことは出来ません。
その為、抗がん剤を使った化学療法や放射線治療が選択されます。しかし、そもそも胃がんでは抗がん剤や放射線治療の効果があらわれにくいともされており、これらの治療はがんの根治を目指す為というよりも、これ以上のがんの進行を抑制する為や、諸症状の緩和を目的として選択されることが一般的です。
抗がん剤(化学療法)についてのページで詳しく解説していますが、胃がんの化学療法には、手術をサポートする為に行う「補助化学療法」と、手術が難しい患者に対する延命や症状緩和を目的として行う「緩和的化学療法」があります。 有効性だけでなく、抗がん剤を用いた治療では副作用も重要なポイントなので、それぞれの患者に合わせた抗がん剤の使用が必要です。(※2)
また、そもそも化学療法では、肝臓や腎臓といった臓器の機能が、抗がん剤の使用に耐えられる状態であるということが重要です。
抗がん剤として用いられる薬剤は、がん細胞の増殖に関わっている「HER2(ハーツ―)」というたんぱく質の検査結果によって異なります。
また、抗がん剤は厚生労働省が承認して保険適用となっているものから、アメリカなど諸外国で開発されたばかりの最新薬まで、多種多様なものが存在しています。ただし、自由診療となる抗がん剤は、治療費が高額になることもあり、患者や家族のQOL(生活の質)を低下させる一因となることもあるとされています。
末期の胃がん患者に対して行われる放射線治療は、胃がんが増大して食べ物が通らなくなってしまった状態の緩和など、がんによる辛い症状の緩和ケアとして行われることが一般的です。このような放射線治療は「緩和照射」と呼ばれます。
緩和照射は、そもそもがんの根治を目的としていない為に、照射量(時間)や照射範囲などを調節して、副作用を抑えられるというメリットもあります。
末期胃がんで緩和照射が適応となる症状は、例えば以下のようなものです。(※3)
末期胃がんの患者では、がんを取り除く手術でなく、がんによる摂食障害やその他の症状を緩和する目的で手術が行われることがあります。これを「姑息手術」といい、姑息手術には、胃がんによって食べ物が通らなくなった際に、食べ物の“通り道”を作るバイパス手術や、緊急的に胃を摘出して消化管を再建する手術(姑息的胃切除)など、症状に応じた方法が存在します。(※4)
腹水とは、文字通りお腹に過剰な水がたまっている症状や、またその水のことです。正確には、内臓と腹膜の隙間に当たる腹腔に、正常な状態よりも遥かに多くの水がたまってしまうことをいいます。
胃がんの場合、腹腔内に広がったがんによってがん性腹膜炎が引き起こされ、炎症部位から水がもれることで腹腔内にどんどんと水がたまっていきます。腹水は進行胃がんにおいてしばしば見られる症状であり、悪化すれば1リットル以上の水がたまることも少なくありません。
腹水がたまると、単に腹部の膨満感がひどくなるだけでなく、腹水が腸管や尿管を圧迫することで腸閉塞などを引き起こすかも知れません。また、激しい膨満感によって食欲が減退し、さらに体調が悪化する恐れもあるでしょう。
腹水は、腹腔内に管を差し込んで、物理的に“抜く”ことで減らすことが可能です。しかし、根本的な原因が解消されていない為に、再び腹水はたまっていきます。また、腹水にはタンパク質など栄養も含まれている為、頻繁に腹水を抜きすぎると血中の栄養状態を悪化させ、さらに腹水を増進される恐れもあるので、注意しなければなりません。
その為、取り除いた腹水を“ろ過”して、がん細胞など不要物を除去した後、体に必要な栄養分などを再び血管内へ戻すという方法もあります。(※5) また、抗がん剤を腹腔内に注入するという化学療法が試みられる場合もあります。(※6)
とは言え、基本的にがん性腹水では、腹水を完全に止めることが難しいのが実状です。その為、腹水を処理するのでなく、モルヒネなどを使って腹水がたまることによる苦痛を取り除く緩和ケアが選択されることもあります。
また、末期胃がんで腹水がたまることは、余命が残り少ないサインとも言われています。
セカンドオピニオンとは、担当医以外の医師から治療や症状について意見を聞くことです。
担当医の説明や治療方針に対して、完全に信頼している人では、セカンドオピニオンなど必要ないと思うこともあるでしょう。また、別の医師の意見を聞くことで、最初から診てくれている担当医の心証を悪くするかもと考え、セカンドオピニオンを避ける人も珍しくありません。
しかし、患者にショックを与えないよう、本当の病状を伝えない担当医がいるのも事実です。
セカンドオピニオンは決して担当医への不信感から行うものとは限りません。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあるように、別の医師や病院に話を聞くことで、これまでなかった発見があったり、見落としていた可能性に気付けたりする場合もあります。
セカンドオピニオンを求める際は、担当医へ正直にその意思を伝え、別の医師へ渡す紹介状やデータをそろえてもらうことが必要です。がん治療においてセカンドオピニオンを求めることは、患者にとって当然の権利です。その為、遠慮したり気兼ねしたりせず、素直に担当医へ申し出るようにしましょう。
末期胃がんの予後については、5年生存率の低さからみても、かなり厳しいのが現状です。
だからこそ、末期胃がん患者に対しては、無理な治療を進めるよりも、QOLの向上を目指して緩和ケアや生活のサポートこそが重要視されることも少なくありません。
もちろん、全ての末期胃がん患者が症状改善を諦める必要はありません。
家族がすべき大切なことは、自分らしく人生を全うする為に何が最も必要なのか、患者の意思・意見をしっかり受け止め、治療や緩和ケアを生活に取り入れていくことと言えるでしょう。
匿名(男性)
診察では、まぶたの裏が白く、貧血のサインが出ていると言われた。
また、左の鎖骨の上にあるくぼみに、1cm弱の固いしこりがあるという。
「くぼみの奥にあるリンパ節が腫れているからだと思います」と言われた。
腹部が膨らんでおり、軽くたたくと反対に波が伝わる。
どうやら腹部に水がたまっていて、肺を圧迫しているため、息苦しさを感じているのではないかということだった。
血液検査を行ったところ、がんがあるかどうかの目安になる「腫瘍(しゅよう)マーカー」という物質が増加しており、がんの可能性があると告げられた。
「胃や腸に腫瘍(しゅよう)ができると、排せつ物に血が混じることがあります。
黒い便が出ることはありませんか?」と聞かれ、血の気が引くのを感じた。
「時々、黒い便が出ていた気がします……」と答えると、「そうですか。
では詳しい検査をしましょう」と言われてしまった。
医師と相談のうえ、入院して腹部に針を刺し、水を抜くことになった。
また、CT(コンピューター断層撮影装置)検査や、生検(固くなったリンパ節に針を刺して一部を採取し、組織を調べる検査)や上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査もあわせて行うことになった。
紅光さん(男性)
検診を受ける日までずーっと、食後に鳩尾辺りが痛むのと、少し食べると喉で蓋が閉まるようなつかえ感があったので、当然のことながら、昨年11月のがん一次検診と同様、精密検査を受けることになるだろう、と予想していました。
検診から2週間以上が過ぎて、そろそろ結果が届くだろうと思っていると、突然、家の電話が鳴りました。
電話にでてみると、がん1次検診の胃X線画像の読影会に参加している医師からでした。
その医師曰く、「胃のX線画像に病変が見られるため、一刻も早く精密検査を受けた方が良い。
」とのこと。
その医師を頼って、数日以内に外科の外来を訪れることにしました。
本来は、がん1次検診結果を文書で受け取ってから、適当な病院の外来を訪ね、そこで精密検査の予約をします。
通常は、検査の予約が混んでいるため、予約が取れるのは1ヶ月以上先で、精密検査の結果が出るのは2ヶ月ほど先になってしまうのではないでしょうか。
しかし、今回は、先の電話をくれた医師を頼ることによって、その電話の4日後には、血液検査、胃内視鏡、CT検査及び胃組織の病理検査を行うことができました。
そして、先の電話から9日後には、精密検査の結果が出ました。
轟 哲也さん(男性)
症状としては、私の場合、胃の上部、噴門側ががんで、結構狭窄してひょうたん形みたいになってて、食べたものがそのひょうたんの上の方にまず詰まる。
なので、お腹いっぱいっていう感覚とちょっと違うんだけど、健康なときの食事の半分もたべないうちにもう入っていかない。
最後の一口が口の中にあるのにそれすら飲み込めない。
そういう状況があって。
普通おなかがいっぱいになると、みなさん経験があると思うけど、ゲップするとちょっとおなかに隙間ができて楽になる。
じゃあそのゲップを出そうと思っても、ゲップすら出せない。
もう胃が全然動いていない感じがすごくしてました。
これはスキルス胃がんの患者みなさん同じように、「胃が硬くて動いてない感じ」「健康なときの半分も食べられないで、もうおなかがパンパンで苦しくて、1時間くらい目を白黒させている」そういうのは共通している感じでしたね。
あまあまママさん(女性)
パパは昨夜何とか、持ち堪えてくれました
髄膜藩種で脳が腫れていましたが、今は意識がはっきりして、飲み物など飲めています
小脳転移の腫瘍には早速明日から、放射線治療を始める事になりました
さっき照射部分を確認するために、CTなどを寝たまま行いました
今出来る事は、脳の腫れを点滴で抑えながらの放射線治療(毎日5分照射)平日毎日で計10回だそうです
放射線治療の効果をみて、抗ガン剤をどうしていくか決めていくそうです
あまあまママさん(女性)
今日の朝、パパが起きて左の奥歯が痛い!うずいてる!ってびっくりびっくり
左のほっぺたが腫れてます
すぐにかかりつけの歯科に電話して行ってきました
すぐに診て頂けて助かります
左奥の歯は昔治療した歯だそうで、被せ物を取ると膿が溜まっていたそうです
綺麗にお掃除してもらうと、痛みは治まったみたいです
ホントは切開や抜歯した方が良いみたいだけどランマークしてるので、おススメしないそうです
根っこの治療を行う切開や麻酔も、骨が腐ってしまう状況につながりかねません
これが噂のあごの骨壊死…
神経の治療については、膿がじゃんじゃん出てるときは詰め物をしないほうが無難だそうで今日は軽く塞いで帰ってきました
また来週、お掃除をして定期的に膿が溜まらないように経過を診ていくそうです
まだ痛むけどロキソニンで、なんとか乗り切らなくては
匿名(男性)
そこからは地獄でした。
朝まで一睡もできず、アカシジアの症状との格闘。
じっとしていられず、足を同じ場所においていられない。
動き回る。
ムズムズ、モヤモヤがずっと。
ベッドの上でたえずうごくこと約12時間、かなりしんどかった。
アカシジアに有効なクスリをやっと処方。
(発症後すぐに貰ったやつは効かなかった)
しばらくして少し落ち着いて動けるようになった。
かなり、ボーとするクスリでもあるらしくオレは看護士さんに色々と話していたらしい。
ほぼ覚えてないがクスリが効いてくれてよかったですわぁ、このまま一生こうなんかなぁと思っちゃいましたってゆったのは覚えている。
アカシジア、症状の重さによってはつらさで自傷行為や自殺してしまうものもあるのだ。
それくらいしんどいものがあるわけで慎重に治療を行っていかなくてはならないし。
平和で普通の健康状態がそれだけで幸せなことなんだと改めてきづかされました。
そのあとは少ししてから再び症状がでてきたがピーク時よりはだいぶよくなった。
今も少し症状はある。
あともうちょいで抜けきりそうですね。
まぁ、今は大丈夫そうです。
あずちゃんママさん(女性)
いきなり夜ご飯食べた後に猛烈な吐き気。
なんでだ
なんでだ
思っていたら
ピンときた。
2時間前に
職場で出されたホットコーヒー
2時間後にやってきたダンピングと思われる
ついでに手がカタカタ震えだした
どうやら血糖値が足りないみたいだ
ゲーしたあと
クッキーを食べる
10分後
治りました…
はー
ダンピングおそるべし
カタカタ震えてくるのが怖い
ふらふらするし
やっぱコーヒーは私には合わないみたい
仕事柄コーヒー飲む仕事だもんなぁ
これは対策が必要だぁ
てつッチさん(男性)
このところ腹水による苦しさは減りました。
しかし右の腎臓あたりが腫れている感じで微熱があります。
腹水を抜いたところが痛みます。
きっと播種があるのでしょう。
怠くて外に出られない毎日。
明日は2回目のオキサリプラチンで入院です。
だんだんとキツくなっていく身体ですが、薬が効いてくれることだけを信じるほかありなせん。
あー疲れたー
てつッチさん(男性)
腹水を抜いた日曜日と翌日の月曜日は絶不調で頭さえ持ち上げるのが大変なくらい体力が落ちました。
食べなくてはと思って食べても吐くし、水を飲んでも吐きました。
それでも何とか少しずつ回復しだいぶ動けるようになりました。
ゼローダを飲むタイミングは朝5時から6時くらい。
どうしても、何があっても吐くわけにはいきませんから、起きたらすぐ飲みます。
朝一はお腹が空っぽだから吐き気もあまり無いのです。
その後1時間ほど経ってから何かたべます。
夜の服用も17時くらいに飲んでいます。
段々と食事もとれるようになり、2時間ごとにちょこっとずつ食べています。
気持ち悪くならない、落なくて苦しいの調整が難しいです。
そしてなんとかだいぶ動けるようになりました。
肝心な腹水の増加はそんなに急にとまるわけもない事はわかっています。
それでも信じてやり続けるしかありません。
(※1)千葉県がんセンター研究所がん予防センター『全がん協加盟施設の生存率共同調査』
(※3)がん・感染症センター 都立駒込病院『がんの症状緩和のための放射線治療』
(※4)日本胃癌学会ガイドライン検討委員会『胃癌治療ガイドラインについて』
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