腹水とは、内臓の表面を覆う腹膜と内臓との間に溜まった水のこと。腹水が多くなると内臓が圧迫されて、様々な自覚症状が生じます。胃がんのステージ4(末期)になると、胃の周辺に腹水が溜まり胃を圧迫。お腹の張りや食欲不振を自覚するとともに、悪化すると胃に痛みを感じます。以下では、胃がんのステージ4(末期)において生じることが多い腹水について、その詳しい原因、治療法などを解説。また、腹水に悩む患者さん本人に対し、周囲の家族ができることについても触れたいと思います。
胃がんのステージ4(末期)における腹水の直接的な原因は、腹膜と胃との間にたまった水です。 水が溜まってしまう理由には、以下の2つがあります。
いかなる種類のがんであれ、症状が進行して末期にいたると、患部で炎症が生じます。この炎症のことを、「がん性炎症」と言います。 「がん性炎症」を起こした部位からは、少しずつ水が漏れていくことが確認できます。この水が腹膜と内臓との間に溜まってしまうことにより、腹水が生じます。
体に溜まった水は、本来、アルブミンという物質の働きにより、血液中へ送られていきます。血液中に送られた水は、やがて尿となり体外へと排泄される仕組みです。ところが、がんの末期にいたると、肝臓の機能が低下。その影響により、アルブミンが十分に生成されなくなります。その結果、余分な水が上手に血液中に送られなくなり、腹水となって溜まってしまいます。
がん以外の病気によって腹水が溜まった場合、一般には、上で紹介したアルミンを人工的に点滴して補充したり、または腹水自体を抜いてしまう処置をしたりします。しかしながら、胃がんステージ4において溜まった腹水に対し、同じ処置を行なったとしても、ほどなく再び腹水が溜まってしまいます。胃がんの末期における腹水への対処法は、他の病気における腹水への対処法とは根本的に異なることを理解しておきましょう。 胃がんの腹水に対しては、以下のような対処法を採ることがあります。
利尿剤、すなわち尿の排出を促す薬を投与することにより、腹水を多少軽減させることが可能です。 尿の中には体内の毒素も含まれているため、利尿剤によって排尿を促すことは、全身状態を改善させるためにも有効です。
いったん腹水を抜いてしまい、その後でタンパク質などの必要な成分を注入により戻す、という方法です。 腹水による自覚症状を緩和させ、かつ、必要な栄養を補うという有効な治療法ではありますが、現状、保険適用は見送られています。よって治療費の全額が患者負担となるため、腹水ろ過濃縮再静注法を定期的に受けられる患者は、極めて少数派です。
何らかの処置を行なったとしても、ほどなく腹水が再発する以上、腹水を治療することではなく、腹水による痛みなどを緩和させることのほうが、現実的な対処法であるかも知れません。よって、腹水が溜まったステージ4の胃がん患者に対しては、一般的に、モルヒネなどの痛み止めを使用して対処します。モルヒネには、痛みを緩和させる効果と同時に、腹部の張りによる苦しさを軽減する働きもあります。余命におけるQOLを高める上で、患者も家族も積極的に検討すべき有効な対処法となるでしょう。
なお、モルヒネの量を徐々に増やしていった場合、それに反比例する形で、患者は意識のある時間が短くなっていきます。腹水が溜まる時期は、余命が1ヶ月を切った段階。意識を保つ時間とモルヒネの注入量とのバランスを、家族は考えていく必要があります。
家族が何をしようとも、ステージ4の胃がんを、ステージ3、ステージ2…、と遡らせることはできません。症状を改善させることができないからこそ、家族は「私たちは何もできない」と思い悩んでしまうこともあります。しかしながら、家族には家族にしかできない、患者に対する大切な仕事があります。
腹水が溜まるほどの末期にいたった患者は、その苦痛の中で、大きな孤独感を抱えている場合があります。 孤独感を少しでも和らげることができるのは、医師でも看護師でもなく、長年連れ添った家族です。家族がそばに居るだけで、患者はどれほど心強いでしょうか。何もできなくても構いません。ただベッドの横に居ることが、患者にとっての大きな支えとなります。
むくんだ手足を軽くマッサージするだけでも、痛みが和らぐという患者が多くいます。 ベッドの横で何もすることがない時には、むくんだ手足を、やさしくマッサージしてあげてください。
腹水が溜まってきたとしても、一般には息を引き取るまでに1ヶ月程度は残されています。モルヒネ注入のタイミングを考慮しつつ、患者が意識のある時に、古い友人や知人に会いにきてもらうようお願いしてみてください。懐かしい友人がお見舞いに来て、昔話に盛り上がっている時、患者は痛みを忘れることもあります。
はたさん(女性)
母63歳
2011年12月26日
母からのメールにて、胃癌ですとの連絡。
私の頭の中では、胃癌は、胃癌でも
手術で治るだろうと過信していながらも、不安と疑心で姉と兄と母と別居中の父と旦那に(当時彼氏)にメール・電話をしました。
その日の母は、母の妹に体調が悪いので病院に連れて行ってほしいとお願いをしていて、少し前から嘔吐が続き、胃潰瘍だと思ったらしく、担当医から、検索結果、腹水がかなり溜まっていて胃癌だと思われますと、その日の夕方母、駆けつけた私と兄で先生の話を聞き、詳しくは三日後にとの話。
いつもクールな兄が、動揺を隠しきれず母の前で涙を流してしまいました。
その時の兄は、泣いていることが母に、バレないように汗を拭くように涙を拭いていました。
32年間生きてきて、35才の兄の泣いてる姿を見たのは、初めてのことでした。
即入院して三日後、担当医からの話、内容は、かなり進行していますと、胃癌ステージ4
病名は、癌性腹膜炎という告知をされました。
お腹に水が二リットルは溜まっていると(腹水)母は、末期ですか?と余命は?と聞きました。
担当医からは、その時では、レントゲンでの判断の為、年明け早々の手術後の再度説明しますとのことで、今すぐに亡くなるとかではないと言いました。
私は、気が気じゃありませんでしたが余命宣告がその時には無く少し安心しました。
母は、年末を病院で過ごすこととなりました。
あまあまママさん(女性)
今日は、先週の造影CTに続いて朝から胃カメラ検査でした
胃カメラの麻酔が切れてから、昼過ぎに主治医E先生の診察です
造影CTの結果は
腹膜播種をおこしていました
(胃癌細胞が、腹腔内にこぼれ落ちて骨盤内、腹壁、 腸管、腸間膜などに転移したもの)
腹水も溜まっていました
お正月過ぎからお腹が張っていたのは腹水が溜まってたからだそうです
胃カメラの結果は
胃の内部に見えている腫瘍の大きさは変わっていないとの事
胃の外側、つまりお腹にガンが散らばってきたという事がわかりました
はるきさん(男性)
手術で多量の腹水を抜いたが、
その抜いたスペースにまた少しづつ腹水が貯留していき、
その影響による腹部の張り感に苦しんでいる。
なんだろう。
この苦しみ。
手術前に主治医から、ストマ取り付け後は、2,3日で食べられるようになると聞いて、
期待していた。
それなのに何日たっても、一向に食べられるようにならない。
このがっかり感と術前の期待感が作り出す落差が意外と大きく、
精神的に弱気になりつつある。
いつまで苦しまなければいけないのか。
腹水増加による息苦しさや吐き気、食欲不振は、
手術前にはそんなに大きくなかったのに。
早く体力をつけて、抗癌剤の治療を再開したいのに。
少しづつ生命力が削り取られているのが分かる。
このまま、ずっと退院できなんじゃないだろうか。
家族や友人からは、励ましの言葉を何度も頂いているのに、
当の患者本人がこれでは、いけない!
そこで今朝、腹水を一旦、CART療法という方法で抜き、
その後、濾過した栄養素を点滴で体内に戻す処置を思い切って提案してみた。
それが通り、来週前半に実施してもらう運びとなった。
これが、食欲回復のきっかけになればいいのだけれど。
みかさん(女性)
今年の3月に末期の胃癌が発見された67歳の母についてご意見下さい。
3月の時点で、余命一年と言われました。
腹膜播種しており、腹水がたまっています。
本人の意思で抗がん剤等はしていません。
少しずつお腹は張ってきてましたが、食事がまったくとれないと言うことはなく、穏やかに生活していましたが、ここ数日で突然腹水が増え、食事がほとんどとれなくなってしまいました。
現在横になっていないと苦しいようで、見ていてかわいそうです。
腹水を抜いて貰いたいと思うのですが、母は現在大学病院に通院しており、主治医が居るのは水曜日だけです。
この状態で1週間我慢した方がよいのか、主治医が居ない曜日でも明日にも受診した方が良いのか、悩んでます。
大学病院なので、予約なしで行くと相当待たされるだろうと言うことと、いきなり当日腹水を抜いてもらう事は可能なのかも心配です。
どうかご意見お聞かせください。
また、腹水が急に増えるということは死期が近いのでしょうか。
残された時間は少ないとわかっていても、うろたえるばかりで何もできません。
涙ばかりで覚悟もできません。
くたびれ はてこさん(女性)
夫は当初最初に検査を依頼したクリニックの紹介で別の病院に入院し、そこで手術を受けることになっていた。
そこでの診断結果はステージ3b。
ところが紆余曲折あって我々は手術日前日に手術を断り、現在の病院に紹介状を書いてもらった。
実はこの顛末を書くのが大変なのでブログが中断していた。
こうして訪れた大学病院は見るからに明るく清潔で、最新の設備が整っており、事務手続きも院内の作りも機能的だった。
祈りを込めて門をくぐった去年の2月、下された診断はステージ4。
前の病院の検査結果を見てすぐに医師は腹水を認め、おそらく手術はできないだろうと診断した。
続いてPET検査と腹腔鏡検査の結果により腹膜播種と腹水、数え入れないリンパへの転移が見られ、胃切除手術の道は絶たれた。
そして現在。
再び訪れた外科病棟で、夫は再び胃切除について外科のT医師の見解を聞くことになった。
「お久しぶりの受診ですか?」と尋ねる看護師をまえに、生きて再び外科病棟を訪ねることができたのはまず喜ぶべきことだとぼんやり思った。
匿名
腹水のせいで、足もパンパンにむくんでいます。
足も冷えて代謝が悪いのがわかる。
むくみをとるのに毎日マッサージしたり、色々なわがままにも付き合いました。
父の友人がお見舞いに来てくれるのは嬉しいけど、相手するのにかなり疲れていました。
以前は友人が来たら歩いて談話室まで行けてたのに、腹水がたまってからは車いすでの移動です。
そして長時間の会話は身体がきついので無理になりました。
そんなある日、父のお見舞いに近所の親子が来てくれました。
父の事を「いいおじちゃん」として、とても父に懐いていた子供だったのですが、父の劇的に変わった姿を見て目も合わさない・・。
激ヤセしてしまって、お腹だけはボコって出てるので、久しぶりに見た「いいおじちゃん」は別人に見えたのでしょう。
会話もほとんど受け答えできず、早く帰ろう~と言う。
激変してしまった姿を受け入れる事はできなかったのでしょう。
この親子が帰った後、「○君怖がってたなー。
仕方ないか」と苦笑いしてました・・。
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