肺、骨、脳などの遠隔臓器に転移した場合の症状や診断の方法、治療法について紹介します。
画像で見ると、転移したがんは丸く、輪郭がくっきりしているので、胃がんが肺に転移した場合には、胸部X線やCT検査で診断することができます。
骨への転移は、CT検査や骨シンチグラフィ(骨シンチ)で確認できます。骨シンチグラフィとは、弱い放射線を出す薬剤を注射して、骨の病変を写真撮影で調べることができる検査です。
脳への転移は、CT検査と、諸条件を組み合わせて診断します。
肺は大きな臓器のため、少々の転移の場合、呼吸機能が悪くなることはなく、また、肺には感覚神経がないため、痛みを感じにくい臓器です。
そのため、胃がんが肺に転移しても、はっきりとわかる症状が出てこないのですが、肺を取り巻いている胸膜にがんが広がると痛みがあったり、転移した場所が気管支を刺激しやすいところだと、咳が出ることがあります。
肺への転移が見られると、がん細胞はすでに全身に広がっている可能性があります。そのため、肺転移の場合には、抗がん剤治療が選択されることが多いです。
手術に耐えられる体力があり、胸腔の外への転移がない場合には、まれに手術が行われることがあります。
胃がんは、脊椎や大腿骨、骨盤などの骨に転移する場合があります。がんが転移すると、骨がもろくなって、痛みが出てきます。
さらに進行すると、圧迫骨折などを起こすことがあるので、できるだけ早く発見することが大切です。
骨転移によって関節痛などが起こる場合には、放射線治療が行われます。また抗がん剤が使用されることもあります。
骨に存在する破骨細胞(骨を破壊する細胞)が作用すると、がんが増殖してしまうため、破骨細胞の働きを抑える骨吸収阻害薬(ビスホスホネート剤)が用いられることもあります。
がんが脳に転移すると、頭蓋内の圧力が上がるため、吐き気や頭痛が出てきます。
身体機能に関わる場所に転移すると、ものが見えにくくなったり、歩きにくくなったり、けいれんを起こしたりする場合があるので、小さな早期がんの場合でも、気づきやすいといわれています。
がんが小さければ、放射線治療が行われます。がんが大きいときには、まれに手術で取り除くこともあります。
参照元:片井均、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 胃がん』小学館クリエイティブ.
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