胃がんの手術を受けた患者がいつからシャワー・入浴が可能なのかを解説しています。入浴時に注意すべき点や入浴することで得られるメリットも紹介。手術を開始する前の基礎知識として覚えておくと良いでしょう。
胃がんの治療が完了後、気になることの一つが「いつからシャワー・お風呂に入れるの?」ということが挙げられると思います。基本的に手術の後はしばらく、入浴することができません。ここでは入浴許可について解説しています。
シャワーを浴びられるタイミングは?
手術が終わったあと、術後の経過が良ければ数日後にはシャワーを浴びることができるようになります。基本的にシャワーを浴びても良いと許可が下りる条件は以下の4つです。
創部に関しては抜糸していなくても、防水テープで濡らさないように処置をすればシャワーの許可が下りることもあります。傷跡の治りが長引いてしまいシャワーが難しい場合は、体は清拭をして、頭は看護師さんに洗ってもらうことがほとんどです。
入浴が可能なタイミングとは?
入浴の許可がでるためには以下の条件が揃っている必要があります。
術後初めて肩までゆっくりとお風呂に浸かった患者からは「本当に気持ち良かった」という話題で、医師や看護師と話が盛り上がることもあるのだとか。また医師にとっても、入浴許可が出せるのは患者の経過が良いという証でもあるため、思い入れの深いタイミングでもあるようです。
国立病院でのクリティカルパスでの入浴可能例
クリティカルパスとは、過去の症例や調査結果などから求めた、標準的な治療経過のこと。言い換えると、経過が順調だった時の見本のようなものです。国立病院機構 大阪医療センターで手術を行なった患者が入浴可能になるまでの日程は以下のように設定されているので、一つの目安として参考にすると良いでしょう。
手術 前日 |
手術 当日 |
術後 1~3日目 |
術後 4~8日目 |
術後 9日目 |
術後 10日目 |
術後 11~14日目 |
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入浴 | 洗面介助 | 清拭 | シャワー (下半身のみ) |
シャワー (全身) |
シャワー(全身) ・入浴指導 |
入浴 |
入浴許可が下りた場合でも、健康な時とは異なり注意すべき点があります。医師から許可が下りたと油断せずに、注意点を押さえた上で入浴しましょう。
入浴だけではなく、浴室内で注意するべきポイントは大きく以下の4つです。
また、傷跡を洗い流してあげることも大切です。手術から30日以内は傷口が膿んでしまうことがありますが、多くの場合はシャワーで洗浄するだけで自然と治るもの。傷口だからと恐れずにしっかりと洗い、清潔な状態を保って、傷口からの感染症を予防しましょう。
入浴で免疫力を高めるためには「自分が心地よいと感じる温度に浸かること」がポイント。一般的に人が心地よいと感じる温度は自分の体温プラス4度と言われているので、平熱が35度の人であれば39度のお湯に入浴するのがベストとなります。
「熱いお湯に浸かるのが好き」という人もなかにはいると思いますが、実は40度以上のお湯で入浴してしまうと心臓が圧迫され知らないうちに体に負担をかけてしまっています。
しかし、体への負担が怖いからと言って40度以下のぬるいお湯で入ってしまうと体が温まらず、かえって体が冷えて風邪をひいてしまう恐れがあります。
さらにがん細胞は人間の体温である約35度の環境が好きなので、温度を下げて入浴すると自分でがん細胞が居心地のいい低体温環境を作ってしまうことになるのです。普段見落としがちなポイントではありますが、入浴時の温度は注意しておくようにしましょう。
入浴による1番のメリットは「体の負担をかけずに免疫力の向上が図れること」です。メカニズムとしては入浴することによって水圧の影響で血管が収縮され、お風呂から上がると同時に水圧から解放され血流が活性化するため免疫機能を担うリンパ球が体の隅々まで行き渡り免疫力が高くなるという仕組みです。
免疫力は注射や薬を利用するといった医療行為でも高めることも可能。しかし、そのぶん体への負担に繋がってしまいます。がん治療だけでも体に大きな負担をかけてしまっているのに、さらに体に頑張ってもらうような手段を取ってしまうと体も疲れてしまうもの。そのため、なるべくがん治療中は体に負担をかけない方法「入浴」で免疫力を高めていくのが好ましいといえるでしょう。
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