胃がんの治療として化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を行うと、口内炎や吐き気など様々な副作用が引き起こされ、そのせいで食欲が減退したり、食事が困難になったりすることがあります。
しかし、そのような時、食べ方や調理の仕方を工夫することで、再び食事を摂ることが可能になる場合も少なくありません。
適切な食事や栄養補給によって、QOLを高めるだけでなく、胃がん治療を体の内側からサポートするためにも、副作用がある時の食事についてポイントを把握しておきましょう。
抗がん剤や放射線を使って胃がん治療を行った際、引き起こされる副作用には幾つものパターンがあります。それは例えば口内炎や食道炎、吐き気や嘔吐感、味覚異常など、毎日の食事を続けていく上で妨げになる可能性が高いものです。
また、胃がん治療として胃の手術を行った場合、食べようという気力こそあるものの、一時的に“飲み込む力”が弱まってしまうこともあります(嚥下(えんげ)障害)。
それぞれの副作用に対して有効な工夫をしながら、日々の食事を前向きな気持ちで続けていくことが大切です。
抗がん剤や放射線による治療を受けている患者に多く見られる副作用が、口内炎や食道炎です。これは、口の中の粘膜(口腔内膜)では代謝が早く、抗がん剤の影響を受けやすいことや、胸部への放射線照射が原因であると言われています。
口内炎や食道炎が生じてしまうと、食べ物を口に入れる度に痛みを感じたり、飲み込むことが辛くなったりして、やがては食事そのものを敬遠してしまいがちになります。
口内炎や食道炎がある時は、傷付いた粘膜を刺激しないことと、食事としての満足感を維持すること、この2つのバランスを取ることがポイントです。
また、食事の回数が減って栄養が不足すると、さらに口内炎が出来やすくなるという悪循環にも陥るため、ビタミンB群などを多く含んだ野菜や果物をメニューに取り入れて、口内炎が生じにくい体内環境を作っていくことも肝要でしょう。その他、歯磨きやうがいによって口内を清潔に保ち、菌の繁殖を抑えることも、口内炎の予防に役立ちます。
尚、どうしても辛い時は食事の回数を減らすことも必要ですが、症状を和らげてくれる薬もあるので、まずは担当医へ相談してみましょう。症状の改善と共に食欲も戻ってくれるので、深く悩みすぎないことも大切です。
吐き気や嘔吐感は、しばしば食べ物の味だけでなく匂いや見た目でも強くなってしまいます。そのため、食材や調味料を吟味して、盛りつけや量についても工夫することが望ましいでしょう。
また、温かい料理によって吐き気を催すこともあるので、なるべく冷たく食べやすいものを用意することが肝要です。ただし、吐き気や嘔吐の原因によっては、無理に食べない方が良いこともあるので、どうしても辛いと思った時は、水分補給だけをしっかりして、固形の食事はひとまず抜いてみることも必要です。
抗がん剤治療をしていると味覚異常が生じることもあります。また、舌に炎症が出来ることで味を感じにくくなったり、亜鉛などのミネラル分が不足することで味覚が鈍くなったりしている可能性もあるでしょう。
基本的に味覚異常は一時的なもので、抗がん剤の使用が終われば元に戻りますが、その変化は人によって、またタイミングによって様々です。味覚異常が生じている時は匂いにも敏感になりがちなので、注意して下さい。
化学療法や放射線療法を続けていると、口の中がひどく乾燥してしまうことがあります。
口内の乾燥は、不快感を増すだけでなく、味覚異常の原因にもなり得るので、食前にうがいをしたり、食事の最初は液体のものを口にしたりして、口内を潤しておくように心がけましょう。また、お酒を飲むと口の粘膜が乾いたように感じられることもあるので、アルコールを控えることも大切です。
胃がん治療として胃を摘出すると、手術による傷や、胃腸の肉体的な変化などの影響によって、食べ物を“飲み込む力”が弱くなってしまうことがあります。
このような症状がある場合、焦って食べ物を飲み込もうとしたり、飲み物で無理矢理に流し込んだりしようとすると、食べ物や飲み物が食道ではなく気道へ入ってしまう「誤嚥(ごえん)」の危険が高まります。
誤嚥をした場合、単にむせたり咳き込んだりするだけでなく、肺に食べ物や唾液が入り込めば肺炎(誤嚥性肺炎)が引き起こされることもあるので、注意しなければなりません。特に、誤嚥性肺炎においては肺炎の原因菌が体外でなく“体内”に存在するため、ワクチンなどの予防接種で備えることが難しく、警戒が必要です。その上、抗菌薬を投与して治癒したとしても、再び誤嚥による肺炎が起きた際は、原因菌が薬剤に対する耐性を獲得しているために抗菌薬の効果が薄く、治療が難しくなるという問題も生じます。
参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス・調子が悪いときの食事
こうした抗がん剤の副作用に対して、いま期待されている成分が米ぬか多糖体です。
米ぬか多糖体には抗炎症作用なども期待できるため、米ぬか多糖体を摂取し、抗がん剤や放射線治療の副作用がやわらいだという報告もたくさんあります。
そのため、米ぬか多糖体によって、副作用を最小限に抑えることもできるのではないかと考えられています。
吉川 佑人さん(男性)
退院後、ようやく痛みと吐き気が落ち着いてきました。
その時頃から意識的に「食べるリハビリ」を始めたのですが、まぁ何も食べられない。
食道の下部を切除していることもあって、そもそも喉を通らないことも多かったです。
この時は誇張なしで「うどん一本で満腹」という状態でした。
その一本が喉を通るために、何十回も噛んで恐る恐る飲み込み、ようやく飲み込んでもお腹が痛くなってしまう。
毎回の食事がそんな状況でした。
ちなみ一本のうどんを何十回も噛むと、飲み込む頃にはとても不味くなっています(笑)
また、当たり前なのですが食事をしていないため身体から脂肪と筋肉がどんどん失くなっていきます。
58kgあった体重は最も減少したときには41kgまで落ちてしまいました。
それにより自分の体力の減少を痛感することになりました。
まず極端な寒がりになり、余計家を出なくなってしまいました。
冬に寝るときは大量に着込んだうえに厚手の布団のなかに湯たんぽを仕込み、ようやく眠れるという程寒さを感じていました。
他には、脂肪と筋肉がないと骨が直接椅子に当たって痛いので硬い椅子には座れなくなりました。
外で少し風が吹くとその方向に身体がふらふらっと流れてしまいそうになることさえありました。
他にもまだまだ体の衰えを感じる現象はたくさんありましたが、この脂肪と筋肉ゼロ生活の時に「さすがにまずい、生きていけない」と思いました。
「がん」への不安がとにかく強かったため、何となく棚上げにしていた「リハビリ」と真剣に向き合わなければいけなくなったのです。
高橋和奈さん(男性)
手術後、“ダンピング症候群”という後遺症があり、食事のときに量に気を付けないで食べてしまうと、吐き気や、冷や汗、低血糖や頻脈などの症状に襲われてしまいます。
もともと食べる事が大好きだったので、好きなものを好きなように食べられないのが辛いです。
匿名(女性)
入らないんです。
水とかせっかく食べたものが出てきそうな恐怖がいつも、今でもあるんです。
そうやって3年になるんですけれども、やはりご飯を食べた後、朝は7時半に食べて、10時半ごろ食べて、お昼を食べて、大体5回ぐらい食べているんですけれども、何を食べたいということがないんです。
あんなに大好きなものがいっぱいあったのに、何を食べたいというのがなくなったんですよね。
だれかが買ってきて食べてて、おいしそうだなと思って一口もらって食べると、もうそれで十分なんです。
少しでも食べるとお腹の具合が、何というか嫌な気分になって、普通にご飯を食べたときは、30分ぐらい横にならないと気分が悪いんです。
引用元:青森県がん情報サービス - 食べ物が入らなくて、少しでも食べると嫌な気分になって、せっかく食べたものが出てきそうな恐怖が、手術をして3年たった今でもあるんです。
いずみさん(女性)
胃がん手術後の食事の内容は、離乳食の過程と同じでした。
しかし、一気に食べると、胃が小さくなっていて処理ができないので、吐き気と痛みが生じます。
医学用語で ダンピング と言います。
15分かけて半分食べ、30分休憩し、残りの半分も15分かけてゆっくり食べるよう指導されました。
退院後もこのやり方でしばらく食事をとりました。
うっかり、早食いしてしまったときは、2時間寝たきり状態でした。
わしやんさん(女性)
吐血の前夜、具合悪くてご飯も作れなくて、スーパーで買って来た鉄火巻き、切ってあるのを2個くらい食べて早くに寝た。
夜中に気持ち悪くなって水を沢山飲んだ。
したら吐き気がしてトイレで嘔吐。
うすい綺麗な少し赤く染まったような液体を嘔吐。
さっき飲んだ水だけど、なんか少し赤いかな。
口の中も血の味がして、もしかして血??って思ったけど、怖くなって、イヤ!!あれは鉄火巻きのマグロだ!(今から思うと笑っちゃうのですが)と思うことにする。
ダンナが「大丈夫?」と聞くので、「あの鉄火巻き古かったのかな。
食あたりみたい。
吐いちゃった」とだけ言って取りあえず寝る。
翌朝、起きられなくて午後から行きますと会社に連絡。
午後から会社。
昼になんとかバナナ1本食べる。
しんどくて5時半に即効帰る。
帰り途、歩けなくなってダンナに電話。
迎えに来てくれるとのこと。
ひとまず会社へ戻る。
会社には部長がいて「ちょっとしんどいので迎えて来てくれるまで休みます」と言って事務所入ったところに設置の応接椅子に座る。
しばらくすると、口の中がまた血の味がしてくる。
と、思った途端、意識が朦朧としてきて、自分が落ちていくのが解った。
やっばーーーーい・・・・・と思い、咄嗟に「すいませーーん!!救急車呼んでください!!」と部長にお願いした。
その瞬間、椅子から転げ落ちるようにテーブルの下に横たわったと同時に嘔吐の気配。
部長にゴミ袋もってきてもらう。
袋を顔にあてたとたん、吐血。
ゴホゴホと大量に吐血した。
くたびれ はてこさん(女性)
ラジオで紹介されていた店のおすすめポイントは男性客大喜びのボリュームだった。
もちおはいつもよりずっと控えめに皿におかずを盛り、席に着いた。
しかしとった料理をほとんど口に運ぶことができなかった。
「サラダは?野菜だけでも食べられたらいいよ」
「うん…なんか詰まった感じがして苦しい」
「お水もってこようか?」
もちおは飲み込んだ料理を苦しがり、水を飲んだ。
それでも詰まった感じは消えなかった。
ほとんど食べきれないまま店を出て駐車場へ向かう途中、もちおはどんどん具合が悪くなり、ついに路肩の排水溝で吐いた。
胃痙攣を起こしているのだとわたしは思った。
ところが出てきたのは水ばかりだった。
「水飲んで吐くっておかしいよね」ともちおはいった。
もちおはこのときはじめて自分の身に、何か経験したことのない異常が起きていると自覚したようだった。
「明日、Aさんの病院いってくるわ」
もちおの胃はこのとき中心部をガンで侵され、上下を残して齧られた林檎のような形になっていたことが後のバリウム検査でわかった。
スキルス胃がんのスキルスとは皮のことで、ガンに侵された胃の粘膜は食物が入っても膨らむことができない。
もちおがいっていた「詰まった感じ」とは、林檎の芯のように細くなった胃の中心部を咀嚼した食べ物が通過するときの圧迫感のことだった。
一気に入ってくると通過の苦しさは液体でも変わらない。
匿名(男性)
胃全摘出してるからたべれないのか、、、
抗がん剤治療してるからたべれないのか、、、
問題がありますよ。
これはね、、、両方なんですね。
胃全摘出してから約5ヶ月経ちましたんで、食べれる幅は広がってきたところはあるんです、けど抗がん剤治療中で吐き気がひどくて食えない。
みたいな感じなんですけどね。
副作用から回復してきたときに食べられる幅の広さが広がっている感じはあるんですよ。
ってことは術後の食事量は回復傾向にあるということですよね。
この判断が最初の頃はかなり難しくて、経験者の方、わかってもらえますかねコレ。
いやいやいゃ、熱くなってしまってすいませんね。
このままずっと食えなくなる不安とか、やっぱりありました、抗がん剤やってる副作用中の精神状態中。
やっぱり精神力は体力に影響されるものなんですね。
体力がやられると精神力がやられるみたいな感じです。
抗がん剤治療は特にそうかもしれません。
今は、食べれる様になってきたので久々にゴハンを食べましたよ。
若干の吐き気はあったけど以前に比べればだいぶいけましたね。
良かった。
この調子で食べる量を増やしていきたいと思います。
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