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胃がん治療で不足しがちな栄養とオススメ食材

胃がんの治療法として胃の切除手術などを選択した場合、術後は胃の大きさが変わるために治療前よりも食べられる量が減るだけでなく、胃腸の消化・吸収力も低下するのでビタミンやミネラルなどの栄養が不足してしまいがちです。

胃がんの術後では特にどのような栄養を意識して摂取していけば良いのか、まとめて確認しておきましょう。

胃がんの術後に不足しがちな栄養

カルシウム

手術で胃を切除した場合、まず不足が懸念される栄養がカルシウムです。

食事でカルシウムを摂取しようとすると、通常は胃の中で食べたものが胃酸によって分解(消化)され、カルシウムが吸収しやすくなった状態で小腸へと運ばれます。しかし、胃を切除してしまうと胃酸による消化機能が十分に働かなくなるため、カルシウムは吸収されにくくなってしまいます。

カルシウムは生命活動に欠かせない栄養の1つ。そのため、血液中のカルシウム濃度が減少してしまうと、体は既に体内にある骨からカルシウムを取り出して補おうとします

カルシウムを失った骨は、当然ながらもろくなり、やがて骨折しやすくなってしまいます。これが「骨粗鬆症」です。

また、カルシウムは精神の安定にも働くので、カルシウムが不足するとイライラや鬱症状が現れることもあり、ただでさえ食生活の変化で大きなストレスを抱えている患者にとって、さらなるマイナス要因となってしまうでしょう。

そこで、胃がんの術後はカルシウムを積極的に摂取していくことが望まれます。
カルシウムは牛乳やチーズ、ヨーグルトと言った乳製品や、小魚、緑黄色野菜や大豆製品などに多く含まれています。ただし、緑黄色野菜に含まれる食物繊維(不溶性食物繊維)は、摂り過ぎると便を硬くして小腸に負担を掛けてしまう恐れもあるので、胃がんの手術後しばらくは摂取量に注意しましょう。

また、カルシウムをきちんと摂取しようとすれば、単にカルシウムが豊富な食材を摂るだけでは不十分です。
カルシウムを体内に吸収するには、ビタミンDが欠かせません

ビタミンDは、食事から取り込まれた成分を基にして、太陽の光を受けた体が自ら合成します。そのため、適度に日光を浴びることが大切です。尚、ビタミンDは肉類や魚類、卵、乾燥シイタケなどに多く含まれています

カルシウム不足による骨粗鬆症などは、術後すぐに症状が現れず、何年も経ってから自覚することもあるので、普段からの意識が肝要です

牛乳不耐症(乳糖不耐症)に注意

カルシウム不足を補うために牛乳などを勧められますが、胃を切除した人の10~15%程度に、牛乳を飲むことでお腹に痛みを感じたり下痢になったりする症状が現れます。これは「牛乳不耐症」などと呼ばれ、胃を切除したことでタンパク質の消化・吸収能力が低下し、また腸内細菌の状態が悪化することが原因であると考えられています。

このような症状が見られた場合は、乳製品を避けて担当医へ相談することが賢明です。

鉄分

胃酸の分泌が減ることで吸収率が低下する栄養としては、鉄分も挙げられます。

鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血を引き起こしてしまうので、胃がんの術後は鉄分を多く含んだ食材を食生活の中に取り込んでいくことが大切です。また、必要であれば鉄剤などのサプリメントを活用して、不足分を補っていくことも良いでしょう。

鉄欠乏性貧血になった場合、6~8週間ほど鉄分を継続摂取することで症状は治まりますが、そのまますぐに鉄分の摂取を中断してはいけません。何故なら、鉄欠乏性貧血になっている人の体内では、既に必要な鉄分が使い果たされているために、鉄分の摂取を止めれば再び貧血症状が出てしまうからです。

鉄欠乏性貧血になった場合は、症状緩和のために鉄分を摂取するだけでなく、体内へ鉄分を蓄積するためにも、さらに継続して鉄分の摂取が必要になります。尚、鉄分が豊富な食材としては、レバーや肉類、魚類、鶏卵、ほうれん草などの緑黄色野菜が挙げられます。

ビタミンCは鉄分の吸収を助ける

緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンCは、鉄分の吸収をサポートする働きがあるとされています。そこで、鉄分を摂ろうとする際はビタミンCも一緒に摂取していくことを心がけましょう。

鉄剤を飲んだ直後は緑茶やコーヒーを避けよう

鉄剤を服用する場合、飲んでから1時間くらいは緑茶やコーヒーなど、タンニンを含んでいるものを摂取しないようにします。何故なら、タンニンには鉄の吸収を阻害する作用があるため、鉄分がきちんと取り込めなくなってしまう可能性があるからです。

また、鉄剤を使用している最中は、便の色が黒くなったり暗緑色になったりしますが、体に異常を来しているわけではないので安心して下さい。

ビタミンB12

胃の全摘手術を受けた人の場合、ビタミンB12の吸収障害も考慮しておかなければいけません。

ビタミンB12は神経や血液細胞の健康状態を維持するために働き、また細胞内にある遺伝物質DNAの生成にも関係する、非常に重要な栄養です。しかし、ビタミンB12の吸収には胃から分泌されるタンパク質が必要となるため、胃を全て摘出してしまった人ではビタミンB12の吸収が正常に行われなくなり、やがて体内にあるビタミンB12が底を突いてしまうと、赤血球などの生産に異常を来して貧血症状など様々な弊害が現れてしまいます。

ビタミンB12欠乏症が生じた場合、自然な状態で回復することが難しいため、医療機関でビタミン注射などを受けることが必要になります。胃を全摘した人では、年に1~2回のビタミン注射を継続していくことが必要となる場合もあるでしょう。

尚、ビタミンB12は普段から肝臓へ蓄積されているために、術後すぐにビタミンB12欠乏症が現れることはありません。発症までの期間については個人差も大きく、早い人であれば2年ほど、遅い人で6年くらい経過した頃から自覚症状が現れることもあるようです。

尚、胃を一部でも残している人では、ビタミンB12の吸収に必要なタンパク質の分泌が行われるため、ビタミンB12欠乏症は起こりにくいとされています。

参考文献:織畑道宏,他「胃切除後および胃全摘術後患者に対するビタミンB12の経口投与の有効性」

胃がんの術後は栄養価の高い食材を摂ろう

胃がんの手術後は栄養価が高く、さらになるべく胃腸へ負担を掛けない食材を選ぶことが肝要です。

術後の胃に優しく、少量でも栄養価が高いとされる食材には、ささみ肉や牛の赤身肉、アジやサバなどの青魚、卵、豆腐や納豆、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品が挙げられます。また、ジャガイモや里芋など、食物繊維が少なめの穀類もエネルギー源として有用ですし、術後すぐは柔らかめに炊いたご飯やおかゆなど、食べやすさを重視したメニューを試すことも賢明です。

これらの他にも、果物の缶詰やバナナ、リンゴなどは糖質とビタミンを同時に摂れる上、甘味がストレスを和らげてくれるので活用していきましょう。特に、果物の中でも桃は鉄分やマグネシウムと言ったミネラルが豊富に含まれているのでオススメです。

油分の多い食材もハイカロリーで栄養価が高いと言えますが、術後すぐに脂っこいものを食べるとお腹を壊すリスクも高まるので、摂取の際は注意して下さい。

参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス・胃がん(いがん)

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