末期の胃がん患者では、一般的に想像されるような痛みや、出血などの他にも、様々な身体的症状が現れるようになり、しゃっくりもまたその一例として知られています。
しゃっくりは健康な人でも日常的に起こり得る症状で、すぐさまそれが命に関わるようなことはありません。しかし、健常者のしゃっくりは通常、数分から長くても数時間で症状が治まる一過性のものですが、末期の胃がん患者では場合によって48時間以上もしゃっくりが持続してしまうこともあり、長く続くしゃっくりは患者に睡眠障害やうつ状態といった深刻な症状を引き起こす、非常に厄介なものといえるでしょう。
しゃっくりは、横隔膜や腹部周辺にある筋肉など、呼吸に関する筋肉である「呼吸筋」が痙攣し、空気が勝手に気管へ吸い込まれ、閉鎖した声帯が震えることで「ひっく」というような音が漏れてしまう現象です。
健康状態や病歴などに関わらず、誰でもある日突然に起こり得るもので、通常は短時間で解消されます。
また、医学的には「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれ、横隔膜を司る神経(横隔神経)や迷走神経、呼吸中枢に関わる神経が、何らかの刺激を受けることで引き起こされるとされています。
しゃっくりは、持続時間によって3種類に分けられることが特徴です。
48時間以内に、自然に解消されるしゃっくりです。基本的に、健常者のしゃっくりはこれに当たることが多いでしょう。
普段の食事や、アルコールや炭酸飲料など刺激のある飲み物、喫煙、急なストレスや興奮、その他にも冷たいシャワーや内視鏡検査など、日常生活の中の様々なことに起因して起こることがあります。
48時間から1ヶ月以内の間、継続するしゃっくりは持続性しゃっくりとして分類されます。そして、持続性しゃっくりよりもさらに長期間続くものが難治性しゃっくりです。
止めようとしても止まってくれないしゃっくりは、精神的なストレスになるだけでなく、睡眠障害や食欲不振、うつ病など数多くの問題につながる可能性もあり、本人にとっては非常に大きな悩みになります。
持続性・難治性しゃっくりでは、ストレスや興奮だけでなく、胃がんや胃食道逆流症(GRED)といった食道に関わる疾患や、中枢神経・末梢神経に関わる疾患、薬剤による副作用など、多くの原因が考えられます。
まず、胃がん患者における、しゃっくりの大きな原因の1つが「胃の膨満」です。胃の膨満によって迷走神経が刺激されることで、しゃっくりが引き起こされてしまいます。
また、腫瘍によって横隔神経が刺激されることも、胃がん患者のしゃっくりの原因として多いものの1つです。
しゃっくりには民間療法から医療の場で行われている方法など、薬物に頼らないしゃっくり治療とされるものがあります。
例えば、大声で驚かすという方法だけでなく、スプーンで1~数杯分の粉砂糖を飲み込んだり、コップの飲み口の反対側から冷水を飲んだりするのも一例です。ちなみに、「飲み口の反対側」とは、自然な状態でコップを掴んだ時に、親指側でなく人差し指側に当たる部分を指します。つまり、コップを掴んだ手や、首をひねって、冷たい水を飲むということです。
綿棒で口の中や口蓋垂(のどちんこ)、鼻の中を刺激してしゃっくりを止めるというのも1つの方法です。また、耳の奥に綿棒や指を入れて、その部分(外耳道)を刺激することで、興奮している迷走神経を改めて刺激してしゃっくりを止めるという方法もあります。
この他にも、紙袋を口に当てた状態で数分~5分間程度、呼吸をするという方法もあります。ただし、この際にビニール袋を使用すると、鼻の穴や口にくっついて窒息してしまう恐れがあるので、使用してはいけません。
尚、これらの方法でも症状改善が認められない場合、薬に頼らない治療法としては、神経ブロックや、横隔神経の切断法といったものがあります。
しゃっくり治療に使われる薬は多数ありますが、医学的にシステムが解明されていないものも多く、健康保険の適用外であることも少なくありません。
しゃっくりの原因によっても使われる薬も変わる為、まずは医師の診察を受けることが必要です。
みずたま堂ひなたさん(女性)
主人はずっと胃の中に溜め込んだ水を何度も嘔吐しています。
昨晩は本人もどうしていいかわからないまま、勝手に水が口から溢れてきて、それを飲み込もうと頑張ってしまいました。
その時に誤嚥したのだろうとのことでした。
これだけ吐いても胃はまだ膨れ上がったままで、しゃっくりも出始め止まりません。
その上にこの高熱。
お部屋の準備をして頂き、このまま入院となりました。
すぐに鼻から管を通し、胃の水を抜く処置がされ、点滴もほどこされました。
もう、お医者と看護師さんにお任せするしかありません。
私はカミサマおねがいです、もうこれ以上苦しめないでくださいと、必死で祈るだけでした。
とっシーさん(女性)
一ヶ月の入院で退院。
自宅に戻りましたが、父親がみるみる弱っているのが分かりました。
7月には、「昔、胆石と胆嚢摘出の手術をしてもらった病院に行きたい。
」と父親が言いました。
その病院では、父親が望んで行きましたが昔とは変わってしまい、最悪な病院でした。
痛みに苦しむ父親でしたが、抗がん剤を使うより苦しみは遥かに軽い、と後から知りました。
昔、お世話になっていたドクターと再会して、父親が少しだけ元気になりました。
それも束の間、やはり痛みが父に襲いかかりました。
『しゃっくり』が、止まらなくて、一晩中、しゃっくりしていました。
父がかなり参っていましたが、私もボロボロになりました。
精神的にも肉体的にも。
7月中頃には、そろそろ父が体力的に無理だとドクターが判断して、退院しなさいと言われました。
引用元:父が胃がんで亡くなり、健康である事の大切さを学びました。 : 病気体験レポート 【病院口コミ検索Caloo・カルー】
匿名(男性)
12時過ぎから昼食摂り始めたが、腹一杯になってデザートまで食べる気にならなかった。
いつもは別腹なのに食べきれない。
そのうち苦しい、腹が張る、戻しそう、パンツのゴムすらきついのでナースコール。
ダンピング症候群は落ち着くのを待つしか無いとのこと。
便意があってやっとの事で便所へたどり着き1回分を廃棄するも症状は変わらず。
濃い唾液が口いっぱいにわき出すように出て最初ははき出すが、自然の反応かと思って飲み込む。
コップを流しに運ぶこともできず看護婦さんに依頼。
2回目に湧いてきた唾液には味がついている感じ。
気持ち悪くなり、脂汗は出るとまではいかないがにじむ。
横になることもできない。
胃の内容物が下へ降りていってくれない感じ。
いすに座ったり、立ち上がったり、腰痛で身の置き所のない痛さの経験はあるが、身の置き所のない気持ち悪さは初めて。
夕方になり、いくらか楽になったかと思ってベットで座るようにしたら、今度は胃にしみるような痛み。
2回目のナースコールで薬をもらう。
飲んだ薬に対しても集中攻撃するような不快感。
しゃっくりが繰り返され、バナナ味の胃液が喉元まであがってくる。
ダメ元で吐いてみるかと便所へ。
そこは酔ったときの経験で手慣れたもの。
2本指で舌の付け根の奥を押してやればビックリ。
パンパンに張り切った風船が割れたように飛び出してきた。
念のためを試みたら同量の戻しがあってまたビックリ。
これまで大食いと笑われたが、胃を切取っても習慣が継承されていたとは。
戻してしまえばこっちの者とは飲んだときの話、今度ばかりは夕飯で取り戻す気にはならない。
因みに食事3単位が普通量とのこと。
それにしても給食されるのは必要な量とばかり思い込み、自分の腹に聞くことをしない大人がいましたとさ。
引用元:胃がん療養記
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