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胃がんの初期症状

胃がんの初期症状の大半は「無症状」と言われています。しかしながら、「無症状」または症状がほとんどないからと言って放置すると、症状を自覚した時点で、ステージが進行しているかも知れません。初期に現れやすい様々な症状を理解し、何らかの異変を覚えたら、躊躇なく速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

胃がんの初期症状

胃がんは、ステージが低ければ低いほど予後は良好な病気。言い換えれば、初期症状の段階で胃がんを発見すれば、治る可能性が高い病気ということです。

以下では、胃がんの初期で見られる様々な症状について確認します。

無症状

胃がんの初期において明らかな症状を自覚する人は、多くはありません。多くの場合は無症状のまま胃がんが進行し、何らかの自覚症状を感じた時、すでにややステージが進行している場合が多いと言われています。

日頃から胃がんを予防する生活習慣を送ることが、何よりも大事であることを理解しましょう。

胃の不快感・痛み

胃がんの初期段階において、胃に何らかの違和感を抱く人がいます。

前日に消化の悪いものをたくさん食べた場合や、暴飲暴食をした場合も、翌朝、胃に不快感を覚えることがありますが、これらの症状とは異なり、心当たりがないにも関わらず胃に不快感を覚えるのが胃がんの初期の特徴です。加えて、その不快感が慢性的に続いた場合には、初期の胃がんの可能性もあるため、速やかに専門病院を受診することが望まれます。

人によっては、初期段階から胃に痛みを感じる例もあります。この痛みは胃がんを原因とするものではなく、胃がんによって併発しやすい胃潰瘍や胃炎の痛みと考えられます。

食欲不振・体重減少

胃がんの初期症状として、食欲不振が見られる場合があります。

特に夏場などは、胃がんではなくても食欲が減退することがあるので、単に食欲不振というだけで胃がんを疑う人はいないかも知れません。しかしながら食欲不振が長期間続き、かつ、体重の減少まで見られた場合には、念のため胃がんを疑って医療機関を受診するようにしたほうが良いでしょう。

倦怠感・ふらつき

倦怠感やふらつきも、胃がんの初期に見られることがある代表的な症状です。

胃がんを生じた部位から出血が生じたため、貧血症状の一環として倦怠感やふらつきが現れると言われています。一時的な症状で治まれば問題はないかも知れませんが、連日症状が続くようであれば、医療機関を受診すべきでしょう。

なお、出血が悪化して吐血や下血が生じた場合、すでに次のステージに移行している可能性があります。

吐き気・げっぷ

吐き気やげっぷが長期的に続いた場合、初期の胃がんである可能性があります。

もちろん吐き気・げっぷは、胃がんではなくても日常的に発症しうるものなので、すぐに胃がんを疑う人はいないかも知れません。一般に吐き気は、風邪などの心当たりがある時に生じます。げっぷは、食後や空腹時などの限定された時に起こる傾向があります。

心当たりのない吐き気やげっぷが長期間にわたり続いた場合には、胃がんを疑って専門病院を受診したほうが良いでしょう。

真っ黒な便(タール便)

真っ黒な便が出た場合(海苔の佃煮のような便)、初期の胃がんの可能性があります。

便の黒色の原因は、血液です。上部消化器官(胃、十二指腸、食道など)にがんが生じて出血し、これが混じって黒くなった便を「タール便」と言います。色のみならず、臭いが極めて強いことも「タール便」の特徴です。

「タール便」が見られた場合、胃がんや食道がん、または別の消化器系の病気が生じている可能性が高いと考えてください。速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

口臭

「ドブの臭い」「便の臭い」と評されるほどの強烈な口臭を生じた場合、初期胃がんの可能性があります。

臭いの原因はがん細胞。がん細胞が壊死する時に強烈な臭いを発し、この臭いが血液に取り込まれたのち、口臭が生じるとされています。

異常と思われるような口臭が生じた場合、胃がんではなくとも別の病気の可能性も考えられます。医療機関で原因を診断してもらうようにしましょう。

初期で見つければ必ず胃がんは完治する?

初期胃がんの明確な定義はありませんが、一般には、ステージⅠの胃がんを指して初期胃がんと称する例がほとんど。以下、ステージ別の胃がんの5年生存率を確認してみましょう。

※参照「がんの統計 ’16」

胃がん発見時のステージ別における予後
ステージ 5年生存率(%)
87.3%
58.9%
42.1%
6.6%

たとえ初期であっても100%治る訳ではない

ステージⅠの胃がんを初期胃がんと定義する場合、その5年生存率は87.3%。極めて高い数字であるため、一部では「初期胃がんは完治する」とする見解すら見られます。確かに高い数字ではありますが、100%ではないことを認識しておきましょう。

例年、風邪で死亡する人も少なくありません。風邪ですら100%完治させられない以上、たとえ初期とは言っても、胃がん患者の100%を完治させることは、現状ではできていないことも認識しておく必要があります。

人それぞれ個性があるように、胃がんにも個性があります。ステージとは別に、胃がんの個性も生存率に影響を与えていることを理解しましょう。

たとえ初期発見であっても、5年以内に12.7%の患者が生存していないこと、逆に、たとえ末期(仮にステージⅣ)であっても、6.6%の患者が5年以上生存しているという点は、患者それぞれの胃がんの個性の違いに由来するとも言えます。

常に再発の可能性がある

初期胃がんを治療した後においても、再発予防のため、抗がん剤等で長く治療を続けて行く必要があります。胃がんは、常に再発の可能性がある病気と考えてください。

長く通院を続けていると、中には、医師から「もう通院の必要はない」と告げられる人もいるでしょう。しかしながら、それは「再発の恐れがなくなった」という意味ではありません。通院の負担を減らして生活を優先させてあげたい、という医師個人の考えによるものです。

初期の胃がんの発見方法

初期胃がんには、自覚症状がほとんどありません。よって初期胃がんの多くは、健康診断などがきかっけで見つかります。一般にはX線検査によって、何らかの異常が見つかった場合、精密検査へと進んで初期胃がんが発見されます。

X線検査

造影剤としてのバリウムを飲み、かつ発泡剤を飲んで受ける検査のこと。35歳で一度バリウムを使用したX線検査を受け、40歳以降になると毎年同じ検査を受ける、というパターンが一般的です。

X線検査を経て胃に何らかの異変(ポリープなど)が発見された場合、精密検査を促されることがあります。

内視鏡

X線検査で胃に異常が見られた場合、内視鏡を使用した精密検査が行われる場合があります。すでにX線検査でポリープが見つかっている人については、内視鏡の先端についたメスで組織を採取し、良性・悪性の検査に回される場合があります。

なお、健康診断のメニューに最初から内視鏡検査が入っている場合(人間ドックなどの場合)、基本的にX線検査を受ける必要はありません。

初期胃がんの治療方法

各種検査で初期の胃がんが発見された場合、それ以上ステージが進行しないよう、速やかに治療が開始されます。治療方針は、がん細胞が胃の粘膜に極限しているか否かにより、大きく2つに分かれます。

がん細胞が胃の粘膜に極限している場合

最初にがん細胞を内視鏡で取り除きます

がん細胞を完全に除去できた場合には、のち、再発予防のための抗がん剤投与を経て経過観察。あるいは、抗がん剤投与をせず、術後すぐに経過観察に入る場合もあります。

がん細胞が胃に残留した場合には、抗がん剤を投与しながら経過観察。症状に応じて適切な治療を受けることになります。

がん細胞が胃の粘膜下層に達している場合、またはリンパ節転移がある場合

一般に内視鏡ではなく、開腹手術によりがん細胞を取り除きます

以後は、粘膜のみに生じた胃がんと同じ流れとなります。

初期胃がんの予防法

初期胃がんは発見が難しい症状であるため、極力、その予防に努めることが大事です。日常的にできる胃がんの予防法は、以下の4点です。

ピロリ菌除去

胃がんの主要な原因の一つが、胃に生息するピロリ菌。実際に、胃がんを患っている人の大半は、胃にピロリ菌を保有しています。日本人の2人に1人はピロリ菌保有者と言われるため、早い段階で診断を受け、保有している場合には除去するようにしましょう。

1週間程度、禁酒して錠剤を毎日飲むことでピロリ菌は除去されます。

禁煙

喫煙者は、非喫煙者に比べて胃がんの発症率が2倍程度との報告もあります。

タバコは、有害物質の作用だけではなく、胃を収縮させたり血行を悪くしたりなど、胃に多くの負担を与えます。喫煙は、胃がん以外にも様々な病気の要因となりうるため、禁煙外来などを利用して一刻も早く喫煙習慣をなくしましょう。

ストレスの解消

精神的ストレスを受けたときに胃が痛くなる、という人も多いことでしょう。ストレスは胃酸を多く分泌させる大きな要因。継続的にストレスを受けていると、胃にかなりの負担を与えることにもなりかねません。

定期的に、自分なりのストレス解消法を実施してください。

バランスの良い食生活

食生活の乱れ、特に塩分の摂り過ぎが胃壁に負担を与えると言われています。塩分過多に注意しつつ、栄養バランスの取れた理想的な食事を摂るよう心がけましょう。

軽微な症状でも「継続」した場合には医療機関の受診を

胃がんの初期症状の大半は、実に軽微なものです。何ら健康に問題がなくても、日常的に同じ症状を自覚することも少なくないでしょう。

それら問題のない症状と、初期胃がんにおける自覚症状との大きな違いは、症状が「継続」しているかどうか。たとえ軽微であっても、心当たりのない症状が「継続」した場合には胃がん、または別の病気の可能性を疑い、速やかに医療機関を受診することが望まれます。

胃がんの初期症状の大半は「無症状」と言われていますが、厳密に見てみれば、何らかの軽微な症状が継続的に生じていることがあります。たとえ気にならない程度の症状であったとしても、心当たりのない症状が継続的に続いた場合は、初期胃がんであることを疑い、躊躇なく医療機関を受診するようにしてください。

参考

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