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手術後に予想される障害は

胃がんの術後は、さまざまな障害が起こりやすい状態にあります。代表的なものについて紹介しています。

胃がんの術後はこれらの障害に注意

胃は食物を一時的にためたり、食べ物を消化・分解するという働きがあります。しかし、手術によってその機能が失われると、さまざまな障害が引き起こされる場合があります。

術後のおもな障害は以下の通りです。

ダンピング症候群

本来、胃は食べ物を一時的に保管する袋のような役割を持っています。袋の中で、食べ物は胃液とともにかき混ぜられ、お粥のような状態になって小腸へと流れていきます。

ところが、胃がんのために胃を切除すると、これらの胃の働きがありません。食べ物は直接、小腸へと流れ込むことになります。

お粥のようなものを受け取る予定だった小腸は、この不自然なプロセスに生体反応。この生体反応が、様々な全身症状となって現れることがあります。これら全身症状のことを総称して、ダンピング症候群と言います。

ダンピング症候群は「早期ダンピング症候群」と「晩期ダンピング症候群」の2種類。食後、どのようなタイミングによって症状が現れるかで分けられます。それぞれの症状、および予防のための食事について確認していきましょう。

早期ダンピング症状

症状

食後すぐ~食後30分以内に発症するダンピング症候群が、早期ダンピング症候群です。症状は、冷や汗、動悸、脱力感、めまい、頭痛、呼吸困難など。腸液の過剰分泌や、全身の血行不良などが原因となり、これら症状が発症します。

予防のための食事

何を食べるにしても、よく噛むことが基本です。また、1回あたりの食事量を少なめにして、食事の回数を増やすようにしましょう。
食事中に水分を摂り過ぎないようにすることも大切。食べ物を小腸に流し込むような食べ方は、しないようにしてください。

晩期ダンピング症候群

症状

食後2~3時間後に発症するダンピング症候群が、晩期ダンピング症候群です。
症状は、脱力感、発汗、震え、頭痛など。一時的に急上昇した血糖値が急降下することにより、これらの症状が発症します。

予防のための食事

デンプン系の食べ物や糖分を多く含む食べ物を、多量に摂取しないようにしましょう。これらの食べ物は血糖値を急上昇させるため、その反応で血糖値が急降下することがあるからです。

なお、食後2~3時間後にチョコレートや飴などの糖分を摂ることで、症状の発症を予防することができます。

逆流性食道炎

症状

逆流性食道炎とは、胃液や腸液が逆流して食道まで達してしまう症状のこと。胃や腸の消化液が、食道の内壁に刺激を与えている状態です。胃を切除した1~6ヶ月後に発症することが多いとされています。

主な自覚症状は、胸焼け、むかつき、みぞおちの痛みなどです。

主な原因は、胃の入り口となる「噴門」や、胃の出口となる「幽門」の機能が十分に働いていないこと。特に「噴門」の機能の不具合が、逆流性食道炎の主要な原因となります。

なお、手術で胃を切除した場合、改めて胃と腸とをつなぎ合わせる再建手術が行われますが、どのような種類の再建手術が行われたかによって、逆流性食道炎の発症率は異なります。「ビルロートⅡ法」と呼ばれる再建手術を受けた患者には、逆流性食道炎が起こりやすいと言われています。

予防のための食事

食後は、胃液や腸液がたくさん分泌されています。この間に横になると、胃液も腸液も逆流してくる可能性があります。よって、食べた後にすぐに横になることは避けましょう。目安としては、食後3時間ほど横にならないようにしてください。

よって、夕食は就寝する3時間以上前に済ませておきます。

輸入脚症候群

症状

輸入脚症候群とは、胃の切除手術によって生じた盲管(=輸入脚)と呼ばれる部分に、癒着や捻転、狭窄が起こることで生じる様々な症状の総称です。癒着とは、くっつくこと。捻転とは、ねじれること。狭窄とは、狭くなることです。

主な症状としては、盲管内における細菌が繁殖、腹痛、嘔吐、黄疸、高アミラーゼ血症など。これらの症状が、前触れなく突如として起こります。

胃を切除した後、再建手術としてビルロートⅡ法と呼ばれる術式を採用すると、輸入脚症候群が起こりやすくなると言われています。

なお、現在ではビルロートⅡ法が採用されることは多くありません。それに伴い、輸入脚症候群の症例も減少しています。

予防のための食事

脂肪分の多い食事を摂ることで、輸入脚症候群が発症しやすくなると言われています。よって、まずは脂肪を制限した食事にすることが大切です。あわせて、高たんぱく、高エネルギーの食事を選び、かつビタミン、ミネラルを多く含む食材を選びます。

また、1回の食事量を少なめにして、食後はしばらく安静を保つようにしてください。
なお、食欲不振で体重の減少が著しい患者については、点滴で栄養を補充することもあります。

腸閉塞

症状

腸閉塞とは、癒着によって腸に生じた狭窄(狭くなること)が原因で起こる様々な症状の総称です。
主な症状としては、腹部全体の痛み、嘔吐、腹部膨満(ガス)、便秘、発熱、頻脈など。腹部全体の痛みについては、いわゆる「激痛」を伴う場合もあります。

原因は、開腹を伴う胃がんの手術。開腹手術を受けた場合、腸に癒着が起こりやすいことが確認されています。癒着が主な原因で、腸に狭窄が生じて腸閉塞へと至ります。

予防のための食事

腸閉塞は、食べ過ぎや早食いなどが引き金となって生じることがあります。予防のためには、ゆっくりと食事を摂ることが大切です。スムーズな排便を促すために、こまめな水分摂取も意識するようにしましょう。

食事内容については、消化の良いものを優先し、消化の悪いものを控えてください。脂分の多い食材は消化が悪いので、摂取するにしても少量に抑えておいたほうが良いでしょう。なるべくアルコールも控えるよう推奨されています。

胃がん手術後の障害と
食生活の関係についての詳細はこちら

参照元:片井均、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 胃がん』小学館クリエイティブ.

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