胃がんにおける化学療法について、その方法や使われる抗がん剤の種類などを紹介します。
胃がんは、抗がん剤の効きにくいがんのため、胃がんの治療では、手術が採用されることが多いのですが、手術で取り切れない微量ながんをコントロールしたり、再発予防のために、術後に抗がん剤治療が行われています。
また、手術ができないほど進行した胃がんの場合、がんの増殖を抑えて、延命を図るための治療法として選択されることがあります。
抗がん剤は、点滴や注射、内服薬で使用します。
抗がん剤を使った化学療法には、「補助化学療法」と「緩和的化学療法」があります。
補助化学療法には、「術後補助化学療法」と「術前補助化学療法」があります。
手術後、がんの再発を予防することを目的として抗がん剤が使われます。手術で切除できたと思っても、目に見えないがんが残っている場合があります。それをそのままにしておくと、いずれ、がんが再発してしまうおそれがあるため、残ったがんにダメージを与えるのです。
ステージⅢ、Ⅳで適応されることが多く、術後、「S-1」という抗がん剤を1年間服用することで、5年生存割合が約10%上がるといわれています。
手術で取り切れるケースでも、がんを小さくしてから切除したほうが、より確実に取り除くことができると考えられる場合や、がんが大きく、そのままでは切除が難しいときに、抗がん剤でがんを小さくすることで、手術が可能になる場合に、手術前に化学療法が用いられることがあります。
しかし、効果が得られなかった場合、抗がん剤の副作用で体調が悪くなったり、体力が衰えたりして、手術条件が悪くなることもあるので、術前補助化学療法を選択する場合には、慎重に検討する必要があります。
ステージⅤで行われる治療で、がんの進行を抑え、症状を軽減するために用いられている化学療法です。
手術で取り切れなかったり、術後に胃がんが再発したり、手術をしたものの取り切れず、転移が見つかった場合などに抗がん剤が使われることが多いようです。
ここでは、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム剤、タキサン系注射剤、フルオロウラシル剤、シスプラチン剤、塩酸イリノテカン剤などの抗がん剤の中から、2~3種類の抗がん剤を組み合わせて使用されることがよくあります。
抗がん剤には、正常な細胞を傷つけてしまう作用がありますが、作用の異なる抗がん剤を使うことで、マイナスの作用を分散させつつ、がんへの効果を増強させることができるといわれています。
副作用が軽くなるというメリットもあります。
胃がんの10~20%においては、「HER2(ハーツ―)」というたんぱく質が、がん細胞の増殖に関わっていると言われています。そのため、化学療法の前に、HER2検査が行われ、これが陽性の場合、「トラスツズマブ」という抗がん剤を併用した化学療法が行われます。
HER2が陰性の場合、一次化学療法として、フルオロピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用が勧められます。現在、日本では「S-1+シスプラチン」が、もっとも多く使用されているといわれています。
シスプラチンを使用する場合には、数日間入院しなければなりませんが、「S-1+オキサリプラチン」や「カペシタビン+オキサリプラチン」の場合は、外来での治療が可能です。
HER2が陽性の場合、初回の治療では「カペシタビン+シスプラチン+トラスツズマブ」が、世界中でももっとも多く使われています。
一次化学療法で効果が見られなかったり、副作用が強くあらわれた場合、全身状態が良ければ、二次化学療法を行うことができます。
二次化学療法では、「ドセタキセル」「パクリタキセル」「イリノテカン」のいずれかが選択されます。2015年以降は、パクリタキセルとの併用で「ラムシルマブ」が使用できるようになりました。
二次化学療法で効果が見られない場合、全身状態が良ければ、三次化学療法が行われます。
三次化学療法では、「ドセタキセル」「パクリタキセル」「イリノテカン」のうち、二次化学療法で使っていないものを選ぶことになります。
抗がん剤治療は、触診やX線、内視鏡、CT、腫瘍マーカーなどの検査を定期的に受け、総合的に効果を判断します。
効果が見られる場合には、そのまま同じ治療を継続するのが一般的ですが、がんが大きくなっていたり、副作用が強すぎるというときには、抗がん剤を変えたり、治療を休むこともあります。
また、治療中に肝臓や腎臓の機能が低下したり、白血球が減少したり、熱が出てしまったときには、抗がん剤が使えない場合があります。
化学療法は、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を及ぼすため、個人差はありますが、副作用がついて回ります。髪の毛が抜けたり、口内炎や下痢など、さまざまな症状があらわれます。
参照元サイト:国立がん研究センター がん情報サービス:胃がん
なお、抗がん剤の副作用緩和やのQOL向上には、下記のページで紹介されているような免疫細胞活性化成分が役立つかもしれません。中にはがん患者に対する臨床データが揃っているものもあるので、参考にしてみてはいかがでしょうか?
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