進行性の胃がんと診断されるステージ3A期。自覚症状や治療方法、術後の食欲減退への対処法などについてまとめています。
胃がんのステージ3A期というのは、以下のいずれかの状態です。
早期の胃がんでは自覚症状がないことが大半だとされていますが、ステージ3Aまで胃がんが進行した場合は、様々な自覚症状があらわれます。また、特に潰瘍を伴っている人では、お腹の上辺りやみぞおちの辺りに痛みを感じることもあるでしょう。
その他、胃がん全体の自覚症状としては、以下のようなものがあります。しかし、これらは必ずしも胃がんに特有の症状ではありませんので、不安を抱きすぎることは禁物です。
ステージ3の胃がんの5年生存率は、「全がん協加盟施設の生存率共同調査」によると、A・B・C期を合わせて約47.1%とされています。(※1)
ただし、病院によってはステージ3Aに関して平均5生存率が59%という治療実績もあるようです。(※2)
対して、ステージ3の胃がんの1年生存率を見れば、85.1%という数値になっています。つまり、ステージ3にまで進行した胃がんでは、なるべく早期に適切な治療をした上で、再発予防に努めることが肝要だと推察されます。
とはいえ、胃がん患者の生存率は、必ずしも胃がんだけが死亡リスクではありません。また、病院によっても平均生存率は変わります。その為、全ての患者に対して常にこの数値が当てはまるとは限らないと理解しておくことも大切です。
日本胃癌学会の日本胃癌学会ガイドライン検討委員会がまとめた「胃癌治療ガイドライン」の概略によると、基本的に胃がんステージ3Aは拡大手術が行われることが多いとなっています。しかし、がんの深達度とリンパ節転移の数によっては拡大手術が適応となる場合もあります。(※3)
胃がんの定型手術とは、がん部位を含む、胃の3分の2以上を外科手術によって切除して、さらに胃の周囲にある第1群リンパ節と、少し離れた部位にある第2群リンパ節も合わせて摘出する手術です。胃を切除する際は、食道や残った胃(残胃)と腸管をつなぐ再建手術も行われます。
尚、D2リンパ節(領域リンパ節)とは、第1群リンパ節と第2群リンパ節を合わせたリンパ節群です。
ステージ3Aの胃がんでは、がんの深達度(臓器への浸潤の程度)によっては「拡大手術」が選択される場合もあります。
胃がんの拡大手術とは、進行している胃がんが適応となる手術です。拡大手術では定型手術の範囲に加えて、周辺にある他の臓器と、胃とつながる栄養血管の根本にある第3群リンパ節(主リンパ節)なども合わせて切除します。
拡大手術で切除される臓器としては、膵臓や脾臓、大腸、結腸などが状況に応じて選択されます。
胃がんの再発を防ぐ為の拡大手術ですが、手術時間が長くなるだけでなく、合併症などの発症率が増えたり、回復するまでの期間が延びたりするリスクも高まるので注意が必要です。
ステージ3Aの胃がんでは、定型手術に加えて補助的に化学療法(補助化学療法)も行われます。補助化学療法には手術前に行うものと、手術後に再発予防として行うものがあります。
再発のリスクとなる、目では確認できないようなサイズの転移(微小転移)や、単純切除が難しい大きな胃がんに対して、手術の成功率や生存率を向上させる為に行われる化学療法です。
手術によって胃がんを切除した場合も、微小ながんが残っている恐れはあり、それらに対する再発予防治療として行われる化学療法です。標準治療としては、抗がん剤「S-1」を手術後1年間服用するとされており、これによって5年生存率が約10%ほど向上するとされています。(※4)
がんの治療に化学療法(抗がん剤)は重要ですが、抗がん剤の使用には治療効果としてのメリットだけでなく、副作用などのデメリットもあるので、事前に把握しておくことが肝要です。
胃がんの全てを手術で切除できれば理想的ですが、残念ながら進行した胃がんではそれが難しいことも少なくありません。その為、手術で取り切れないがんや、すでにリンパ節から他の臓器へ転移しているかも知れないがんのリスクに対する治療として、抗がん剤は有効とされています。
また、抗がん剤には複数の種類があり、自分に合った抗がん剤が見つかれば、高い治療効果も期待できるでしょう。
抗がん剤のデメリットは、がん細胞のみならず、健康な細胞にも影響を及ぼしてしまうことです。例えば、毛髪、口や食道などの粘膜組織、血液を生み出す骨髄など、特に細胞分裂が盛んな細胞に影響が大きいとされています。そしてその結果、脱毛や口内炎・食道炎、下痢、免疫力の低下があらわれます。 その他にも、倦怠感や浮腫、色素沈着、動悸や不整脈が起こったり、人によっては腎臓や肝臓に障害が出たりするかも知れません。
しかし、これらの副作用は、使用する抗がん剤の種類や使用量、体質などによって個人差が大きく、副作用がとてもひどい人もいれば、あまり副作用がないという人もいます。尚、抗がん剤の使用に関しては担当医と相談しながら進めていき、副作用がひどい場合には抗がん剤の減量や中断なども含めて検討します。
緩和ケアは、辛い病状を抱えている人に対して、その苦痛や病状を予防・緩和することで、少しでも「生活の質(QOL)」を改善させようとする治療です。 特に、胃がんが進行して痛みを感じている患者では、痛みによってストレスがたまるだけでなく、場合によっては不眠症状や鬱症状が悪化して、深刻な症状があらわれる可能性も0ではありません。その為、それぞれの患者に合わせた適切な緩和ケアの選択は、患者や家族の心理状態を良好に保つ為にも、また胃がん治療をスムーズに行う為にも、非常に重要です。
尚、緩和ケアには、苦痛の除去を目的とした薬物療法や放射線治療だけでなく、精神療法なども含まれます。(※5)
ステージ3A期になると、胃がんの手術後に食欲の減退を訴える人が多くなります。その原因として、以下のようなものが考えられます。
術後、身体の健康を取り戻すためには、食事をしっかり摂ることが重要です。
症状ごとに適した食事方法があります。
胃がん治療として胃の摘出手術を受け、また継続した化学療法などを受ける上で、少しでも体の状態を良好に保つ取り組みは重要です。そして、その為にまず第一の方法は、食事による栄養摂取です。
基本的に、胃がんの治療で行えるのは「がんを減らす・がんを予防する」ことであり、厳密に言えば「体を健康にする」ことではありません。つまり、実際に体を健康な状態へ戻していくのは、患者の体に備わっている治癒能力や免疫力に頼らざるを得ないのが現状です。
また、体の調子が悪いままだと、さらに食欲が減退して、栄養不足となり、ますます体調が悪くなるという悪循環に陥ります。だからこそ、少しでも摂取しやすく、また摂取することで体調改善や免疫力向上をサポートする成分があれば、それは治療面だけでなくQOLの面からみても素晴らしいといえるでしょう。
そして、実際に世界各国の研究機関や医療施設で、食欲増進や免疫力向上に寄与すると示唆されている成分として、「米ぬか多糖体」が注目を集めています。
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(※1)千葉県がんセンター研究所がん予防センター『全がん協加盟施設の生存率共同調査』
(※2)近畿大学医学部 外科学教室『さらに詳しい胃がんのお話』
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