逆流性食道炎とは、胃の中にある内容物が逆流して食道に戻ってきてしまう病気のことです。胃の中には、食べたものを溶かすための「胃酸」と呼ばれる消化液がありますが、この胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜が溶けてしまい、炎症を起こしてしまいます。
なぜ、胃がんの手術を受けた後に逆流性食道炎になってしまうのか、どうすれば解決するのかを詳しく説明していきたいと思います。
胃には、食道との境目にある「噴門」と、十二指腸へと続く部分にある「幽門」という場所があり、胃がんのほとんどは、幽門側で発症します。幽門側で発症したがんを切除するには、幽門側の胃と、十二指腸の一部を切除しなければなりません。
この手術を行うと、幽門がなくなってしまいます。幽門は、すぼまった形をしており、逆流防止機能を果たしているのですが、これがなくなってしまうと、十二指腸にある胆汁や膵液などが胃を通り超えて、食道部分にまで逆流してしまうのです。
発症する期間は、術後1~6か月ぐらいが最も多く、胆汁による苦みや胃液の酸味によって胸やけや吐き気を催すほか、声がかすれてしまうといった症状が見られるようになります。
胃がんの手術による逆流性食道炎の根本的な治療方法は、ほとんどないのが現状。最も簡単な対処方法は、頭を胃よりも高くすることで、逆流しにくくするということです。寝る時も、真横になるのではなく、頭の方を20度ぐらい高くして寝ると、胆汁や胃酸の逆流を抑えることができます。
また、食後は食べたものを消化しようとして胃の動きが活発になるので、逆流しやすい状態になります。そのため、食後にすぐ横になるのを控えたり、食事は就寝する時間から逆算して3~4時間前にするなどの工夫も有効。乳製品や脂分の多い食事を避けた方がよいかもしれません。また、軽い運動をすることで症状が軽くなるというケースもあるようです。
あまりにも症状が重い場合は、薬による治療もおすすめ。食道の粘膜を保護する薬や、胃液の逆流に役立つ制酸薬、膵液に含まれる消化酵素から食道を守る酵素阻害薬などの服用が考えられます。
胃酸や胆汁などが逆流してしまった場合は、食道を洗い流すように水を飲むのが最適です。
胃の内容物が逆流を続けることで、食道の粘膜の表面部分にある扁平上皮という組織が変質し、胃の粘膜によく似た円柱上皮という組織に置き換わってしまうのがバレット食道です。
バレット食道は、国内ではそれほど危険性が高いとされていませんが、欧米では食道線がんの原因となると考えられています。
胃酸が逆流することで何度も目が覚めてしまうことで睡眠障害になるケースも多々、あります。
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