胃がんは、その進行度によってステージ1~4に分類されます。それぞれのステージの状態について解説しています。
胃がんの初期症状の大半は「無症状」と言われていますが、厳密に見てみれば、何らかの軽微な症状が継続的に生じていることがあります。たとえ気にならない程度の症状であったとしても、心当たりのない症状が継続的に続いた場合は、初期胃がんであることを疑い、躊躇なく医療機関を受診するようにしてください。
まったくの初期段階である胃がんのステージ1A期。自覚症状もほとんどないので、胃がんを発症していることに気づきにくく、多くはがん検診で発見されます。ステージ1A期ではリンパ節への転移はなく、がんが2cm以内なら内視鏡治療が、2cm以上なら腹腔鏡手術が行われることが多いです。
ステージ1A期よりも進行した状態ですが、自覚症状はほとんどありません。胃がんを取り除くための定型手術は、腹腔鏡手術の場合が多いのですが、がんの深さによっては開腹手術になります。
ステージ2は、リンパ節への転移が見られ、深い部分まで浸潤しているか、リンパ節への転移はないものの、胃の表面まで浸潤している状態です。この段階になると胃の痛みや腰痛、体重減少などの自覚症状があらわれる人も多いようです。開腹して定型手術を行うのが一般的です。術後に抗がん剤が用いられることもあります。
ステージ3は、A、B、C期に分かれます。ステージ3になると、食べ物がのどに詰まったり、お腹が張ったり、お腹にしこりができたり、体重が減少したりというような自覚症状があらわれてきます。手術は開腹手術が行われ、がん細胞のある胃だけでなく、リンパ節や周辺の臓器も切除する拡大手術が行われることも多いです。
ステージ3A同様の自覚症状が感じられることが多く、そのまま放置しておくと、腹水や胸水がたまって、持続的な痛みを感じるようになってきます。手術では胃の2/3以上の切除または全摘出、胃付近のリンパ節の切除など、拡大手術が行われ、術後は化学療法が行われることもあります。
肝臓や肺、腹膜などに遠隔転移している状態が、ステージ4です。腹部のしこりが大きくなり、食欲不振や体重減少、貧血、腹水・胸水による痛みもあります。手術ですべてのがんを切除するのは難しく、抗がん剤治療や痛みを取るための他所手術が中心となります。
腹水とは、内臓の表面を囲む腹膜と内臓との間に、水が溜まってしまう症状のこと。腹水が多くなると内臓を圧迫して痛みが生じるなど、様々な症状を自覚します。末期の胃がんにおいても腹水はよく見られる症状ですが、これを完治させる方法は確立されていません。一般的には、利尿剤により腹水を減らす方法や、鎮痛剤により腹水に伴う痛みを軽減させる方法が採られています。家族がそばにいるだけでも、腹水に耐える患者にとっては心強い支えとなります。
胃がんがステージ4まで進行した場合、例外を除いて、手術が選択されることはありません。厳密に言えば、手術によって根治を目指す治療は見送られる、ということです。その理由は、手術をすることによる弊害のほうが大きいから。ステージ4において手術ができない患者においては、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療、緩和手術、対症療法(痛み止め)などが採られます。昨今では、これら標準治療と併せて免疫療法や代替医療を選ぶ患者も増えています。
末期胃がん患者の中には、症状の一つとして吐血する人もいます。吐血とは、文字通り、血を吐く症状のこと。胃がんの影響で生じた炎症部分から出血するなどの理由で、吐血が生じます。同じ理由で血液が便から排出された場合、これを下血と言います。胃がん患者が吐く血は、真っ赤な鮮血ではなく、コーヒー色をした黒い血液。血液が酸化するため、黒く変色します。吐血に伴った吐瀉物を気道に詰まらせないよう、家族はしっかりと見守りましょう。
程度には個人差があるものの、一般に胃がんは痛みを伴う病気。ただし現代医学では、胃がんの痛みを容易にコントロールすることができるようになりました。末期に激痛を伴って死を迎える、というイメージは、一昔前のものです。胃がんの痛みを上手にコントロールするには、鎮痛剤を扱う医師に対して、痛みの特徴を正確に伝えることが重要。患者からの正しい情報に基づいて適切な鎮痛処置を施せば、激痛の中で死を迎える末路はありません。
がんの治療を受けている人の多くに、嘔気や嘔吐の症状が見られます。その原因にはいくつかの種類がありますが、筆頭に挙げられるのが抗がん剤の副作用によるもの。加えて、放射線治療の副作用で嘔吐を生じる例もあります。末期がんの患者の場合、状態によってはベッドに寝た切りになっている可能性があります。仰向けで嘔吐すると吐瀉物が気道に詰まって窒息する恐れがあるので、嘔気を催した患者を横向きにするなど、家族は迅速な対応をするようにしましょう。
胃がんの末期を含め、各種のがんの治療中の患者に、むくみ(リンパ浮腫)が見られることがあります。主な原因は、手術によるリンパ節の切除。また、リンパ節を切除していない患者においても、がんがリンパ節に転移した場合や末期がんの症状の一つとして、むくみが見られることがあります。末期胃がんで生じたむくみに対しては、むくみ自体を取る治療よりも、がん自体の治療や、むくみによる痛みの緩和を目指した治療が中心に検討されます。
末期胃がん患者はもちろんのこと、がん治療中の多くの患者において、倦怠感を自覚する例が見られます。倦怠感が生じる最大の理由は、抗がん剤による副作用。加えて、痛みによる疲労感、吐血などによる貧血、水分不足、精神的ストレスなどが倦怠感の要因として指摘されています。倦怠感の生じ方には、患者によってパターンが見られることがあるため、まずは自身の倦怠感のパターンを認識することが大事。このパターンにしたがい、各々の対処法を検討していきます。
末期胃がんのステージまで症状が進行すると、著しい腹水が見られることがあります。この腹水が横隔膜を押し上げ、呼吸困難を自覚する場合があります。また、末期胃がん患者の多くは、すでに他の部位にもがんが転移している可能性が大。肺や気管支などにがんが転移していた場合には、これが直接的な原因となり呼吸困難を自覚する場合もあります。モルヒネの投与などで症状を緩和させる方法もありますが、並行して呼吸を楽にする日常の工夫も大切です。
肝臓がんなどを原因とし、皮膚や白目の部分が黄色味を帯びる症状のことを、黄疸(おうだん)と言います。末期の胃がんは肝臓に転移する例が多く見られるため、結果として、末期胃がんの患者には黄疸が見られることが少なくありません。黄疸が生じた皮膚は、非常に敏感です。皮膚の掻くことによる感染症の発症が懸念されるため、十分な保湿ケア、皮膚の清潔維持、室内の温度・湿度の管理、痒みを誘発しない衣類の選択など、家族が注意すべきことはたくさんあります。
末期になると激しい痛みがある、腹水がたまる、排尿障害がおこるなど様々な症状がみられます。末期胃がんの症状や治療について紹介しています。
胃がんは、発症時のステージが低ければ低いほど、予後は良好となります。ステージⅠであれば、概ね90%の患者において健康な体を取り戻しています。発症時のステージのみならず、発症年齢の違いや、手術によって摘出した胃の範囲についても、予後に影響を与えかねない要因。予後の状態については、ステージだけではなくて様々な側面から考えるようにしましょう。
末期の胃がんの患者では、胃がんを原因とした様々な症状が体に現れるようになります。そして、末期胃がんの患者において見られる症状の中でも、しゃっくりは直接的な痛みというよりも、肉体的・精神的なストレスとして、患者の生活の質を下げてしまう大きな原因になり得ます。しゃっくりの原因や、胃がんとしゃっくりの関係性、辛いしゃっくりの治療法などについて、まとめて知っておくことは、闘病生活の質を上げる為に重要です。
末期の胃がん患者や、胃の摘出手術を受けた患者では、悪化した腫瘍や、胃を失ったことによるダンピング症候群などが原因となって、健康な人よりもおならが出やすい状態になってしまうことがあります。人前でおならをすること、おならをされることにストレスや嫌悪感を抱く人は少なくありませんが、末期の胃がんとおならの関係について正しく理解しておくことは、それらを軽減する上でとても大きな助けとなってくれるでしょう。
胃がん治療による摘出手術の後や、末期の胃がん患者にいよいよ死期が迫った時、幻覚や錯乱、妄想といったせん妄の症状が引き起こされてしまうことが少なくありません。例えば手術に起因する術後せん妄では、術後の回復期に発症した急激なせん妄が、1週間前後で徐々に落ち着いていきますが、末期の胃がん患者では臓器不全などで、死亡の数時間から数日前に渡ってせん妄が続くこともあり、その状態や原因を見極めることは重要です。
末期の胃がんにおいては、がん組織や周辺の臓器からの出血が原因となって、便の色がタールみたいに黒くなるタール便が見られるようになります。タール便の色の理由は、血液中に含まれているヘモグロビンであり、タール便が出た場合は、胃や腸内のどこかから出血している可能性が非常に高いといえるでしょう。タール便の原因が常に胃がんとは限りませんが、少なくともタール便が出た際は速やかに医師の診察を受けることが賢明です。
腸の流れが滞り、便やガスが詰まりやすくなってしまう腸閉塞は、末期の胃がん患者や胃の摘出手術を受けた患者にとって、常に気をつけておくべき非常に重要な症状です。腸閉塞になった場合、激しい腹痛を引き起こすだけでなく、悪化すれば腸が壊死して穴があくなど、命に関わる危険もあり、決して油断することができません。腸閉塞について正しく理解しておき、万が一の際にも速やかに対処できるよう日頃から心がけておきましょう。
胃がんの末期になると、がん組織からの出血や、化学療法・放射線療法による副作用、胃の消化・吸収能力の低下などの理由から、貧血の症状が起こりやすくなります。倦怠感やめまいといった貧血の諸症状は、日常生活の質を下げる直接的な理由になる為、貧血の改善は毎日を穏やかに過ごす上で非常に重要なポイントです。理由や状態に応じた、適切な貧血の予防・治療法を覚えておき、日々を穏やかに暮らせるように備えておきましょう。
胃がん患者や末期のがん患者では、腰痛が自覚症状として挙げられることも珍しくありません。腰痛は原因不明のものも少なくありませんが、中には胃がんとの関連性が明らかになっている腰痛も存在し、また痛みに対する対処法は、胃がん患者の生活を守る為に、非常に大切な要素です。胃がん患者を悩ませる腰痛について、その原因や予防・治療法をきちんと理解しておけば、最適な治療計画を考える上で助けになってくれることでしょう。
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