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ステージ4における吐血の特徴・対処法

ステージ4と診断された胃がん患者では、がんの影響は胃だけでなく、全身に現れていることが大半です。

胃がんが進行し、ステージ3A以上の段階に入ると、患者の中には吐血が見られる場合もあります。吐血とは、文字通り、血を吐くこと。胃や十二指腸に溜まった血液を吐くことを、吐血と言います。同じ原因によって血液が下へ排出されることを、下血と言います。つまり、胃がんにおける吐血と下血は同じ原因によるもの、ということです。なお、同じ血を吐く症状として、気管支や肺からの出血を原因とする「喀血」とは異なるので区別してください。

ステージ4(末期)の胃がんにおける吐血の原因・特徴

ステージ4の胃がんにおいてみられる吐血の原因は、胃の血管の損傷です。胃がんの影響で胃の血管が侵され出血し、この血液が食道を通過して逆流することで、吐血を生じます。

ステージ4における吐血の特徴

一般に吐血と聞くと、「真っ赤な血をタライにたくさん吐く」「真っ赤な血を布団にたくさん吐く」といったイメージが浮かびますが、胃がんにおける吐血は、このイメージとは異なります。

胃がんによる吐血はコーヒー色
胃がんによって胃の内部に生じる出血は、「急激で大量」の出血ではありません。時間をかけて、徐々に生じてくる出血です。よって、口から吐き出される血液も、実際の出血からは多少時間を経たものになります。

ところで私たちは、日常の中でちょっとしたケガをして出血した時、その血を十分に洗い流さずに放置していると、徐々に黒っぽくなってくることを経験しています。血液は、しばらく放置すると、その成分の酸化が進んで色が黒ずんでくるのです。これと同じ原理で、胃がんによる吐血においても、黒ずんだコーヒー色の血液が吐き出されることになります。

なお、胃がんによる出血が口から吐き出されれば吐血ですが、便から排出されれば下血です。下血でも同じ原理が働いて便が黒ずみますが、この黒ずんだ便のことを「タール便」と言います。

ステージ4(末期)の胃がんにおける吐血の治療法

胃がんによって吐血を生じた場合、患者の個別の状態により、各種の治療が検討されます。

出血量が著しいと判断されえた場合には、まず輸血が必要となるでしょう。あるいは、貧血を防ぐ目的で鉄剤の投与が行なわれる場合もあります。いずれの方法であれ、体内の血液量の状態の安定を前提とし、次の対応を考えることになります。

内視鏡による止血術
内視鏡を使用し、薬剤の注入やレーザーなどにより止血を試みます。
カテーテルによる止血術
血管内カテーテルを挿入し、止血を試みる方法もあります。
薬物投与
症状に応じた適切な薬物の投与を行ないます。
禁食・安静
一時的に禁食させて安静にさせることにより、出血の自然治癒を待ちます。

吐血を生じた患者に対して周りの人ができること

胃がんにより吐血が見られたとしても、当然ながら、家族などの周囲の人が適切な治療をできる訳ではありません。患者を不安にさせるような狼狽をせず、落ち着いて医師や看護師等の医療関係者による治療を待つのみです。

ただし、急な吐血への対処法の基本については、家族も理解しておく必要があるでしょう。

家族による急な吐血への対処法

吐瀉物が器官に詰まらないよう患者の体位を変える
仰向けのまま吐血した場合、血液を含めた吐瀉物が気道に詰まり、窒息してしまう恐れがあります。横向きにする、または縦の姿勢にするなどし、気道に吐瀉物を詰まらせないよう注意してください。あまりにも大量の吐血が見られる場合には、腹ばいの状態にして吐かせます。
背中などをさすって吐きやすくする
血液を含めた吐瀉物を患者が吐き出しやすくするために、背中などをさするようにします。吐き終わったら、薄い食塩水でうがいをさせてください。
吐血後は毛布などにくるみ安静にさせる
吐血が終わったら、患者を毛布などにくるみ保温します。この際、再度の吐血に備えて横向きに寝かせておくようにしましょう。医師や看護師が到着するまでの間、患者に話しかけたりなどせず、安静にします。
保温をしながら胃の部分を冷やす
毛布などで全身の保温をしつつ、アイスバックなどを使って胃の部分を冷やします。

以上の緊急対応をしつつ、医師や看護師の処置を待ちましょう。

なお、吐血した直後に患者が飲み物を欲しがる場合がありますが、安易に水などを与えないようにしてください。医師の許可が出たのちに、水分補給をするようにしましょう。

また、患者本人は、吐血により精神的に大きく動揺している可能性があります。それ以上患者を動揺させないために、吐き出した血液を患者に見せないようにしてください。

参考文献

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