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胃がんの再発・転移の予防方法はあるのか

胃がんの再発・転移を予防する方法についてまとめています。

胃がんの転移は予防できるのか

胃がんでがんを切除する際、がんがある部分を、周辺のリンパとともに切除して、他の臓器に転移が見られなければ、もうがんはなくなったと思いがちですが、こうした手術を施しても、5年以内に10~20%が再発しているといわれます。

がんは、血液やリンパ液に乗って、もとの場所から離れた場所へ移動し、そこで新しいがんを形成するという性質があるため、がんを切除しても、見えないくらい小さながんの細胞が残ってしまうことがあるからです。

がんは、検査などで発見できるくらいの大きさになると、数億個にもおよぶがん細胞ができていて、すでに転移している可能性があり、検査などで見つからない、目に見えないほどの小さながんが転移している可能性は70%以上ともいわれています。

手術でがんを切除した後、目に見えない微小ながん細胞があっても再発できないようにするため、抗がん剤を使った術後補助化学療法を行うことが多くなっています。

小さなうちであれば、がんを抗がん剤で治癒することができると言われていますが、すべての人に効果があるわけではなく、効き目がある人とそうでない人がいます。

検査などで発見できないがんが残っていた場合、術後5年以内(その多くは3年以内)に再発することが多いと言われています。そのため、手術をして5年が経過して再発がなければ、治癒したと考えられるのです。

早期胃がんの場合は再発しにくく、がんが進行するにつれて、再発の確率が高くなると言われています。

がんが再発した場合、同じ臓器に多発してできたり、あちこちの部位にがんがあらわれたりすることが多く、手術で取り除くのは困難です。

そのため、抗がん剤による治療が中心になります。

胃がんなどの転移を予防する食べ物

がんは再発のリスクが高い病気ですが、その予防のためには食事が重要だと言われています。野菜や大豆製品などを積極的に摂っていると、がんの治療後の予後が良好であるというデータがあります。

胃がんの手術後、豆腐を週に3回以上食べていると、再発などのがん死の危険率が0.65に、生野菜を週に3回以上食べている人の危険率は0.74になるという報告が、「愛知がんセンター」から報告されています。このことにより、食事によってがんの再発を防げるのではないかと考えられます。また、野菜や大豆には、抗酸化力や肝臓の解毒機能を高めるなど、抗腫瘍作用があると言われています。

漢方に使用される生薬にも、さらに強い効果を持つものもありますし、穀物の場合には、精製したものよりも、無精製のものや全粒の物の方が体に良いと言われています。

がんの再発を予防するためには、バランスのよい食事を摂ることが大切です。味付けを濃くして、食べたいものを食べたいだけ食べるというようなことをしていては、がんの再発予防はできません。

「肥満はがんの再発率を高める」と言われているので、カロリーをコントロールすることは、がんの再発率の予防にもつながります。けれども、厳格な食事制限を続けると、ストレスがたまります。ストレスはがんの大敵なので、ほどほどに行うようにしましょう。

胃がん治療後に気を付けたい
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がんの予防には免疫力アップも必須

そして、がんの再発や転移の予防にもっとも重要なのは、身体の免疫力を向上させること。体に良いものを食べても、免疫力が低下していては、しっかりと栄養を吸収することができません。

免疫力をアップさせるにはNK(ナチュラル・キラー)細胞の活性化が不可欠です。NK細胞は、「生まれながらの殺し屋」というその名の通り、全身をパトロールし、がん細胞やウイルスに感染した細胞などを見つけ、攻撃する免疫細胞です。

このNK細胞が活性化すると、免疫力が向上するといわれています。NK細胞を活性化させる成分として、いま、注目されているのが「米ぬか多糖体」です。以前より、免疫増強作用があるといわれていた米ぬかを、体内に吸収しやすくした米ぬか多糖体には、がん細胞の増殖を抑える作用もあるといわれています。

NK細胞活性化に期待できる
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参照元サイト:銀座東京クリニック:がん再発予防法

早期胃がんの再発予防にはピロリ除菌が有効

早期胃がんは再発リスクが高い

早期胃がんは内視鏡治療によってお腹を切らずに治療することが可能ですが、手術後に再び新しい胃がん(異時性胃がん)が発生してしまうリスクが高いという特徴があります。

しかし、日本ヘリコバクター学会が発表した「H. pylori 感染の診断と治療のガイドライン 2009 改訂版」によると、手術後胃の内視鏡治療後にピロリ除菌を行うことで、胃がん再発のリスクを抑えることができるとのこと。下記の通り、同ガイドラインでは、この治療が強く推奨されています。

早期胃癌内視鏡的治療後の残存胃粘膜に対する H. pylori 除菌が異時性発癌の発症に対して抑制効果があるとする報告があり、欧米をはじめとするガイドラインでは除菌すべき疾患とされている。この報告は無作為された比較試験ではなかったため、わが国において多施設無作為臨床試験が施行された結果、除菌による異時性発癌の抑制効果が確認された。したがって、わが国でのエビデンスが整備されたものと考えられることから、H. pylori 除菌治療が強く勧められる疾患とされる。

参照元サイト:(PDF)H. pylori 感染の診断と治療のガイドライン 2009 改訂版

ピロリ菌とは

正式名称「ヘリコバクター・ピロリ」、いわゆる「ピロリ菌」は、グラム陰性桿菌に属する細菌であり、胃がんの主な原因だと言われています。

ピロリ菌が初めて見つかったのは1982年、オーストラリアのマーシャルとウォーレンという研究者によって存在が明らかにされました。この菌は世界の人口の約半数が感染しており、その状況は日本でも同様。

ただし、感染率は年代によって差があり、60代以上の人は約60~70%、10代では10%ほど。これは衛生環境の整っていなかった時代に幼児期を過ごしたことが原因と考えられます。感染経路は未だ明らかになっていませんが、免疫機能が未発達な乳児の頃に感染するケースがほとんどだそうです。母親からの感染、保育園など子供が多く集まる場所での感染が考えられています。

感染すれば一生感染が続いてしまいますが、大人になってから感染する可能性は低いため、一度除菌治療を受けた場合は、再感染の心配はほぼ不要です。

参照元サイト:日本消化器病学会「ピロリ菌感染と胃がん」

ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌を除菌する前に、まずは自分の胃にピロリ菌がいるかどうかを調べる必要があります。検査方法には内視鏡を用いる方法と、そうでない方法に分けられます。

ピロリ菌に感染しているかどうか、調べる方法はいくつかあります。

    1. 内視鏡を用いる方法:
  • a.内視鏡で「細胞」を取って、そこに菌がいるかどうか調べます。
  • b.内視鏡で取った組織を「培養」に出して調べます。
  • c.ピロリ菌が出すウレアーゼという酵素を調べる「迅速法」。
    2. 内視鏡を用いない方法:
  • a.「血液検査」で、ピロリ菌抗体(IgG)を調べます。
  • b.息を吐いたときの「呼気」に含まれる尿素で判定します。
  • c.「便」の中に含まれるピロリ菌抗原を調べます。

参照元サイト:新橋内視鏡クリニック:「ピロリ菌」と「胃がん」のご相談コーナー

各種の検査の中でどの検査がよいかは、ご自身の状況や施設の機器などによって違います。

当院では、以下のような検査をお勧めしています。

  • 1. ピロリ菌がいるかどうか、はじめての検査には「血液検査」がお勧め。
  • 2. ピロリ菌がいる場合、治療には「内視鏡で胃炎を証明」することが必要です。ピロリ菌が陽性なら「内視鏡検査」で「胃炎」を確認し、細胞をとって確定診断を行います。
  • 3. ピロリ菌の治療(除菌)を行ったあとは、「尿素呼気試験」で、治療効果を判定します。

上記の検査をお勧めする理由は、次のようなものです。

  • 1. ピロリ菌感染の証明には、簡単で確実な方法を選びます。すぐに検査できて、心理的な抵抗が少なく、判定が確実、という点から、はじめての方には血液検査をお勧めしています。
  • 2. 内視鏡検査は、除菌治療のためにどうしても必要です。
    感染している方のほとんどに「慢性胃炎」の所見が認められます。細胞を取って調べると、診断がより確実になります。
  • 3.除菌治療を行ったあとも、しばらくは検査の値が高いことがあります。血液検査では、半年から1年くらいは値が高く、数年間続くこともあります。内視鏡では、数の減ったピロリ菌を捕らえそこなうことがあります。当院では治療の1-2ヶ月後に、尿素呼気試験で効果判定を行っています。

参照元サイト:新橋内視鏡クリニック:「ピロリ菌」と「胃がん」のご相談コーナー

さらに、ピロリ菌の有無だけでなく、胃がんのリスクも含めて調べられるのが「ABC検診」です。一回の採血だけで済むので、苦しい思いをしてバリウムや発泡剤を飲んだり、放射線を浴びたりするレントゲン検査のようなリスクはありません。

最近、胃がんのリスクを判定する方法として、「ABC検診」が注目されています。

これは血液検査で、

 (1)ピロリ菌の有無

 (2)ペプシノゲン法による「慢性胃炎」の程度

の二つの項目を測定し、それを組み合わせて「胃がん発生の危険度」を判定する方法です。2007年の厚生労働省研究班により、この方法の有効性が証明されています。

「ABC検診」は(1)と(2)の組み合わせで、次の4つのレベルに分類されます。

  • A群:ピロリ菌(-)、ペプシノゲン法(-):胃がんのリスクは低い。
  • B群:ピロリ菌(+)、ペプシノゲン法(-):リスクは中等度。
  • C群:ピロリ菌(+)、ペプシノゲン法(+):胃がんのリスクが高い。
  • D群:ピロリ菌(-)、ペプシノゲン法(+):胃がんのリスクが高い。

A群はピロリ菌の感染もなく、胃炎の程度も軽いため、胃がんになるリスクは低いと考えられています。B群⇒C群⇒D群と進むにつれて、胃の「荒れ方」がひどくなり、D群は胃炎がひどくてピロリ菌も住めなくなった状態ではないかと推定されています。

したがって「B群」以上の方は、きちんとピロリ菌の「除菌」を行い、さらに「内視鏡検査」を受けた方がよいと考えられているのです。

ただし、ABC検査はピロリ菌の有無と胃がんリスクを知ることはできても、胃がんを見付けることはできないという事は覚えておきましょう。

ピロリの除菌方法は?

ピロリ菌の除菌治療は、以下のような手順で行います。

胃酸を抑える薬+抗生物質×2種類を、1日2回、6錠ずつ7日間飲みます(1次除菌)。

1-2ヶ月後に効果判定を行い、陰性になれば治療は終了。陽性なら次に進みます。

抗生物質の1種類を変更します。1日2回×7日間薬を飲みます(2次除菌)。

もう一度、効果判定を行います。1次+2次除菌で、95%以上の方が治ります。

では、それでもダメだったら?

保険診療はここまでしか認められていません。

効果判定がまだ早すぎる可能性もありますので、時間をあけてもう一度効果判定を行うことがあります。

また別の抗生物質を用いて3次除菌を行うことがあります。

参照元サイト:新橋内視鏡クリニック:「ピロリ菌」と「胃がん」のご相談コーナー

上記の通り、複数の薬を一定期間にわたって飲み続け、しばらく期間をあけて検査、という方法によってピロリ菌の除菌治療は行われます。2回目の除菌治療までは健康保険が適用されますが、3回目以降は自由診療となってしまいます。

ピロリ菌・胃がんの専門医

上記、ピロリ菌の検査・治療内容に関しては、ピロリ菌と胃がんの治療を得意とする「新橋内視鏡クリニック」のご意見を参考にさせていただきました。同クリニックは胃がんの早期発見に力を入れているそうで、仕事帰りなどの空き時間で手軽に検査を受けることができます。

新橋内視鏡クリニック

新橋内視鏡クリニック
https://www.azabu-iin.com/
名称 医療法人社団清陽会 新橋内視鏡クリニック
院長 梅谷 薫
住所 東京都港区西新橋1-17-8 須田ビル1F
TEL 03-6257-1957
診療時間 9:00~13:00、15:00~19:00
休診日 土曜日・日曜日・祝日

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