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胃がん検診におけるバリウム検査

ここでは、胃がんの発見を目的としたバリウム検査について、特徴やメリット・デメリットなどを解説します。

バリウム検査とは

バリウム検査とは、バリウムと呼ばれる白い液体を飲み、食道や胃をさまざまな角度からレントゲン撮影する検査のこと。胃がんをはじめ、胃ポリープ等の異常を発見するために行われる検査です。

食道や胃の中に凹凸がある場合、バリウムの流れが悪くなったり、バリウムに影が生じたりすることがあります。この凹凸は腫瘍である可能性があるため、発見された場合には精密検査を受ける必要があります。

バリウム検査は、あくまでもスクリーニング(精密検査への振るい分け)が目的であり、確定診断ができる検査ではありません。バリウム検査によって何らかの異常が発見された場合には、通常、確定診断を目的とした胃カメラによる検査を受けることになります。

バリウム検査の方法

会社の健康診断等で、これまで何度もバリウム検査を受けたことのある方も多いことでしょう。胃がん等の発見を目的とするバリウム検査は、一般に次のような方法で行われます。

絶食・禁煙

バリウム検査の前夜21:00以降は、絶食します。胃の内容物が残ったままで検査を受けた場合、正確な診断ができないからです。ただし、水やお茶なら飲んでも差し支えありません。

検査の当日は、禁煙も必須です。煙草を吸うと、胃が刺激されてバリウムを腸へと誘導してしまうからです。

着替え

検査の前に、検査着に着替えます。普段着のままで検査を受けると、金具等がレントゲンに映り、正確な診断が出来なくなる恐れがあるからです。

胃の活動を停止させる

胃の活動を一時的に停止させるため注射をします。筋肉注射なので、比較的強い痛みがあります。

検査台に上がってバリウムを飲む

検査台に上がり、医師や放射線技師の指示にしたがってバリウムを飲みます。最初は食道の検査となります。

発泡剤を飲んでからバリウムを飲む

医師や放射線技師の指示にしたがって、発泡剤を飲んだ後にバリウムを飲みます。発泡剤で胃をふくらませながら、胃の状態をレントゲン撮影します。

角度を変えながらレントゲン撮影

放射線技師が検査台の角度を変えながら(ローリングと言います)、さまざまな角度のレントゲン撮影を行います。

下剤を服用

検査後、処方された下剤を服用します。胃や腸に残ったバリウムを、速やかに便として排出するためです。

なお、本来のバリウム検査は、医師立ち合いのもと、医師の指示にしたがって放射線技師が行うものと決められています。しかし実際には、人件費等の問題から、バリウム検査に医師が立ち会うことは少ないのが現状です。(※1)

バリウム検査の一般的なメリット・デメリット

一般的に指摘されているバリウム検査のメリット・デメリットについてまとめました。(※2)(※3)

メリット

検査費用が安い

胃カメラ等による検査に比べて、バリウムによる検査は費用を安く抑えることができます。検査に使用する機材自体の価格、および、検査を行う医療従事者の人件費等が影響し、バリウム検査は費用が安めに抑えられていると言われています。

検査の苦痛が少ない

胃カメラによる検査よりも、バリウムによる検査のほうが苦痛は少ないと言われることがあります。ただし近年では、以前に比べて胃カメラの苦痛がかなり軽減されているため、バリウムや発泡剤を飲むよりも、胃カメラのほうが苦痛は少ないと感じる方もいます。

スキルス性胃がんの発見に有効

粘膜の下で進行するスキルス性胃がんの発見は、胃カメラよりもバリウム検査のほうが有効な場合があります。

デメリット

平坦な胃がんの発見が苦手

頻度は少なめですが、バリウム検査は、凹凸のない平坦な胃がんの検出が苦手です。逆に言うと、胃がんではなく先天的に胃に凹凸のある人は「異常あり」と診断されることもあります。

検査精度にむらがある

先天的に、または検査当日の何らかの理由で、検査時点で胃液が多く分泌された場合、バリウムの胃粘膜への付着を胃液が邪魔し、正確な診断を妨げられることがあります。結果、人により検査精度にむらた生じてしまうことがあります。

放射線被ばくがある

レントゲン撮影を受ける以上、放射線被ばくは避けられません。健康を害するような被ばく量ではありませんが、避けるに越したことはありません。

情報を参考にさせて頂いた医療機関

新宿海上ビル診療所

新宿海上ビル診療所は、消化器内科を中心に、循環器科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、脳神経外科、婦人科、内視鏡科など、幅広い診療に対応している総合外来。健康診断や人間ドックも行うなど、地域医療に広く貢献しています。

新宿海上ビル診療所
http://tsurukamekai.jp/
名称 新宿海上ビル診療所
院長 門前 幸志郎
住所 東京都渋谷区代々木2-11-15 新宿東京海上日動ビル3F/4F
TEL 03-3299-0077
診療時間 8:45-12:30 / 13:45-17:30
休診日 日曜・祝日

院長 門前幸志郎医師

1993年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院第三内科、山王病院内科・循環器科、国際医療福祉大学准教授などを経て、2015年より新宿海上ビル診療所院長に就任し、現在にいたります。専門は循環器疾患、生活習慣病、内科疾患全般の3本。いかなる治療でも、医師の独断ではなくチーム医療を重視する姿勢をモットーとしています。日本内科学会、日本循環器学会の認定専門医。

福岡天神内視鏡クリニック

福岡天神内視鏡クリニックは、胃と大腸の内視鏡検査・治療を専門とするクリニック。放射線被ばくがあり、かつ早期胃がんの発見を苦手とするバリウム検査に対し、内視鏡専門クリニックの立場から疑問を提唱しています。

福岡天神内視鏡クリニック
https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/
名称 福岡天神内視鏡クリニック
院長 相馬 渉
住所 福岡県福岡市中央区天神2-4-11 パシフィーク天神4F
TEL 092-737-8855
診療時間 9:00~18:00(土曜~16:00)
休診日 日曜・祝日

院長 相馬渉医師

大分大学医学部を卒業後、大学病院やその関連施設で豊富な診療を担当。のち、国内で最多数の内視鏡検査を誇る「たまプラーザ南口胃腸内科クリニック」にて内視鏡による診断と治療の研鑽を積み、2017年より福岡天神内視鏡クリニック院長に就任しました。専門は消化器内視鏡診断・治療。日本消化器内視鏡学会の専門医資格も保有する、内視鏡治療の名医。

そねクリニック丸の内

そねクリニック丸の内は、内科と婦人科を中心に診療している総合外来クリニック。健康診断や人間ドックを通じ、胃のバリウム検査や内視鏡検査も数多く実施しています。胃がん検診において、バリウム検査が良いか内視鏡検査が良いかという問題については、患者の希望や状況によって異なるとする中立的な立場。

そねクリニック丸の内
https://www.soneclinic-marunouchi.com/
名称 そねクリニック丸の内
院長 種市 春仁
住所 東京都千代田区丸の内1-8-2 鉃鋼ビルディングB1
TEL 03-6212-3888
診療時間 9:00-12:30 / 14:00-17:30
休診日 日曜・祝日・土曜午後

院長 種市春仁医師

岩手医科大学医学部を卒業後、同大学内科学講座特任講師などを経て、そねクリニック丸の内の院長に就任。「共に生き、共に考え、共に育つ」をモットーに、医師からの一方通行な診療ではなく、医師と患者との十分な対話を重視して診療にあたるドクターです。医学博士、日本内科学会専門医、日本糖尿病学会専門医。

参考文献

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